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『本当は、全部覚えてたんだね。』
涼「…うん、ごめん。」
私たちはホテルの裏庭に出た。
海が見えて、風が気持ちいい。
『なんで急にいなくなったの?自分のせいでまた私に迷惑がかかるから?それとも私が嫌いになった?』
涼「どっちも違う。」
『じゃあなんで?』
涼「俺、魔力を失ったんだ。」
『え…?』
涼「俺が回復して、なおかつAも死なずに済む血の量だけ分けてもらったから。寿命も長くない。」
『じゃあ…』
涼「まぁ普通の人間みたいになったってことだよ。
長くないとは言っても、五、六十年は生きられる。」
『ならもう襲われることもないじゃん。』
涼「逆だよ。」
『どういうこと?』
涼「もう俺にはAを守れない。
魔力を使って高校生に戻してやることもできない。」
『だから…』
涼「うん。他の吸血鬼に目をつけられないように、極力関わらずに生きていこうって決めたんだ。」
『…』
涼「Aを失うのが怖くて…Aを幸せにするどころか、日に日に苦しくなるばかりだった。」
苦しかった…涼太も同じ気持ちだったってこと?
『じゃあ…昔から私を知ってたっていうのは?』
涼「それも本当。まだAが小さい時、俺が死にそうになってたところを助けてくれて…」
『でも私覚えてない…』
涼「記憶が消されてるからね。」
『そっか…』
じゃあ涼太はこれまでずっと、私を見ていてくれていたってこと?
私を幸せにするためだけに命をかけてくれたの?
『ずるい…』
涼「え?」
『ずるいよ!好きにさせるだけさせて、逃げるとか!』
涼「A…?」
『この5年、ずっと涼太を探してきて…
見つけた時は心臓が張り裂けるかと思った。』
涼「…」
『またいなくなっても…地球の裏側にでも探しに行ってやるから!』
涼「…ははっ」
涼太はいつもの優しい笑顔で笑った。
やっと見つけた。やっと戻ってこれた、私の居場所。
涼「俺、Aが好きだ。誰にも渡したくない。」
『涼太…』
涼「俺とずっと一緒にいてくれますか?」
そんなの、一択でしょ。
『はい!よろしくお願いします!』
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りさ - いえいえ(*^-^*)新作楽しみにしてます(*^-^*) (2020年9月29日 4時) (レス) id: b925f584b2 (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - りささん» ありがとうございます!なるべく早く更新できるよう、頑張りますね! (2020年9月24日 22時) (レス) id: 34d49d678f (このIDを非表示/違反報告)
いくら(プロフ) - 片寄楓さん» ありがとうございます!書いた甲斐がありました(笑) (2020年9月24日 22時) (レス) id: 34d49d678f (このIDを非表示/違反報告)
りさ - えっいつの間に完結になってたの?本当はもっと読みたかったけど新作楽しみにしてます(*^-^*) (2020年9月23日 0時) (レス) id: 76aa5cadc8 (このIDを非表示/違反報告)
片寄楓(プロフ) - 完結おめでとうございます!!涼太くん推しなのでこのお話は読んでいてドキドキしました(≧∇≦)何度も読み返したくなる作品です。またいつか別のお話、楽しみにしてます(>_<) (2020年9月20日 15時) (レス) id: a5a37dc932 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:いくら | 作成日時:2020年4月6日 23時