・ ページ6
『俺、人間が好きなんだよね』
息子からそんな厨二チックな言葉を聞いた時、俺は心から息子に病院へ行くよう促した。
・
伏黒甚爾は2018年の今、生きている。
12年前、五条悟との闘いに敗れて自分は死ぬはずだった。たとえどんなに優秀な医者がいたとしても、反転術式が使える者以外、甚爾を救えなかったろう。
──ねぇ。助けてほしい?
朦朧とする意識の中でそんな声が聞こえた。
五条悟のものでは無い。彼の気配はいつの間にか消えていた。代わりに別の人間が自分の前に立っているのがわかった。
──俺は君を人間と認めたくない。でも、君を化け物と認めると、すなわち俺も化け物になっちゃうんだよね。
──俺は人間を愛してる。愛する人間のために俺は君を助けてあげる。だから、君は一生俺に仕えて。これは縛りだ。破れば、君の命を奪う。
答える気力はもうない。
だが、生きる可能性があるのならそちらにかける。
俺は頷いた。
──縛り成立だ。
・
結局、あの後甚爾は意識を失ったため、自分がどのように助かったのかは分からない。その後、臨也に聞いても「秘密」とだけ言って教えてはくれなかった。
臨也に仕える──というのは用心棒の事だった。左腕が無い以上不便なことも多いが、それでも自分は強い自覚はある。並の1級呪術師には勝てるだろう。
「恵くんってびっくりするくらい甚爾に似てたね」
帰ってきてからの開口一番がそれだった。
「……会ったのか」
「たまたまだよ。髪は…母親似かな?少なくとも俺と似てるとは思えないね。良い子そうじゃないか。本当に君の息子?」
「俺に似てるっつったの誰だよ。あと同じセリフをお前に返すよ。お前本当に俺の息子かよ」
238人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リンくん(プロフ) - とても好みの作品です!臨也さんのお話大好きです。更新お待ちしておりますm(_ _)m (2022年5月9日 19時) (レス) id: a5a7605112 (このIDを非表示/違反報告)
みかん飴(プロフ) - とてつもなく好きです。更新待ってます。応援してます頑張ってください (2021年9月23日 1時) (レス) @page9 id: 8f561c9bbc (このIDを非表示/違反報告)
名無しだ - とても好みの作品です。時々でも大丈夫ですから更新頑張ってください。お身体にお気をつけて。 (2021年2月2日 19時) (レス) id: 7bc9b16450 (このIDを非表示/違反報告)
華鏡 - 臨也さん大好きなんです!ずっとこういう作品探してました!とても面白いです!更新頑張って下さい。期待してます! (2020年12月10日 16時) (レス) id: aaef57c7c2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時:2020年12月9日 23時