検索窓
今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:24,271 hit

ページ5

一目見て分かった。──甚爾の子供だ、と。
笑えるほどにそっくりだった。髪質のみが甚爾と違うようだが、顔立ちが甚爾そのもの。

臨也は吹き出しそうになるのを必死で抑えた。

自分とは他に、甚爾に子供がいるのは知っていた。というか、何度か調べていた。

伏黒恵。男なのに女みたいな名前を付けたのは甚爾らしい。それを知った時、臨也はその後1週間思い出し笑いが絶えなかった。
彼は臨也とは違って呪術師。そして何より、禪院家相伝の術式を使えるらしく、現在15歳の若さで2級呪術師という天才新人だ。

自分の腹違いの弟になるのだが、やはり実感は持てない。そもそも甚爾が父親ということすら認識できていないのだ。自分の家族はやはり前世の彼らと決まっている。自分の兄妹はあの双子で十分だ。



前世と全く同じ作りの建物が並ぶこの街。
それなのにここは“あの世界”とは違う。

自販機は飛ばないし、首なしライダーはいない。カラーギャングなんてものもいない。過去にそんな存在があったことも無い。



臨也はハッキリ言ってこの世界が好きじゃない。あまりにも人外が多すぎるのだ。そして、自分自身もまた人外にカウントせざるおえないのが腹立たしい。



俺は人間が好きなんだ。



呪霊も呪術師も臨也にとっては要らないものだ。人間の世界の中で、化け物が人間の皮を被って闊歩している。心底反吐が出る。

そして何より、自分があんなにも忌み嫌った平和島静雄と同レベルの力を持っていることが1番嫌だった。



今世の臨也は自販機を投げれるし、怪我の治りは異様に早いし、目は良い、耳も良い、鼻も利く。

珍しい天与呪縛の持ち主だった。

珍しいことに父親と同じ天与呪縛の持ち主だった。



俺は人間を愛してる。



人外は要らない。

・→←一章



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (94 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
238人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

リンくん(プロフ) - とても好みの作品です!臨也さんのお話大好きです。更新お待ちしておりますm(_ _)m (2022年5月9日 19時) (レス) id: a5a7605112 (このIDを非表示/違反報告)
みかん飴(プロフ) - とてつもなく好きです。更新待ってます。応援してます頑張ってください (2021年9月23日 1時) (レス) @page9 id: 8f561c9bbc (このIDを非表示/違反報告)
名無しだ - とても好みの作品です。時々でも大丈夫ですから更新頑張ってください。お身体にお気をつけて。 (2021年2月2日 19時) (レス) id: 7bc9b16450 (このIDを非表示/違反報告)
華鏡 - 臨也さん大好きなんです!ずっとこういう作品探してました!とても面白いです!更新頑張って下さい。期待してます! (2020年12月10日 16時) (レス) id: aaef57c7c2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作成日時:2020年12月9日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。