「なんで止めるの？」 ページ27
「え、何してんの？自分の立場分かってる？この状況でまだ逃げられると思ってるならバカの極みだね」
「ぁ……っぇ」
ショータに伸びた長い舌を腕に巻き付けて引っ張る。ヴィランは苦悶の表情を浮かべるが知らない、呆れ返る程にバカなのが悪いんだよ。
「はぁ……おいユキ」
「さっきから喚くのもうるさいしさぁ……あ、喋れないようにしよっか！その方がいいね！」
手早くショータの腰からナイフを抜き取る。クルリと持ち直して巻き付けた舌に突き刺そうと振りかぶった。
ﾊﾟｼｯ
掴まれた手首
「なんで止めるの？」
「やりすぎだ。そこまでしなくていい」
あと数ミリという所で刃先が止まり、ヴィランが安堵の息を吐いたのが分かった。強い力で握られる自分の手首に視線を落とし、ナイフを地面に投げた。もう片方の腕も自由にして路地から出る。後ろから罵声が飛んでくるが、すぐに静かになった。気絶でもさせたんだろう。
「警察に引き渡しに行くぞ」
「ハイハイ」
……またこれだ。脳無くんにショータがやられた時と同じ。同じ焦燥感。なんで僕は咄嗟に腕を伸ばした？ショータなら対処出来たと思うんだけどな〜……なんでだろ。面白そうだと思った訳でもない。ただあの時と同じ焦燥感に駆られて、気づけばショータの前に立っていた。
ショータが僕の中で有象無象では収まらない立ち位置なのは自覚してる。だけど、そうだからってわざわざヴィランの前に出るかな？もしかしたら、別の攻撃だって待ってたかもしれないのに。
「ユキ」
気絶したヴィランを担いだショータが僕を呼ぶ。僕の嫌いな名前で。
「守ろうとしてくれてありがとうね」
「……やっぱりショータさ、"〜ね"って言い方似合わないよねー」
なんて、こんな事。我ながらバカみたいな返事だなぁ……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 175人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみた先生(プロフ) - 名無しさん» 温かいコメントありがとうございます！！一応やる気はまだまだあるので頑張ります！！キャラ付け上手くいったみたいで良かった……(独り言) (2022年12月21日 22時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
名無し(プロフ) - コメント失礼します！話消えちゃったのめちゃくちゃ大変だと思いますが、更新楽しみにしてます！夢主くんの性格？口調？がとんでもなく好きで、これからどうなるか気になります…無理はしないでくださいね！長文失礼しました！ (2022年12月21日 22時) (レス) id: 7cbba75bf7 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - Yuuさん» コメントありがとうございます！！ (2022年12月18日 9時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
Yuu(プロフ) - totemosuki、、、、、、、 (2022年12月18日 3時) (レス) id: fb830e3447 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：すみた先生 | 作成日時：2022年9月23日 19時
