二十八、昔の夢 ページ31
＿＿＿＿夢を見ていた。
いや、その表現だと少しおかしいか……夢の中の“わたし”は、それを夢だとは理解していなかったから。
端的に云えば、わたしの目の前にいるのはポートマフィアの新
何故一般市民であるわたしが裏組織のトップと顔を合わせているかというと……まずは、
＿＿＿＿わたしが十三歳の時に親を亡くし。
その直後に、ポートマフィアの首領の首がすげ替わった、という話から話すべきだろう。
「津島A君、だね？」
「……っ、はい……」
「ああ、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。君は太宰君の“最も優先すべき大切な存在”のようだ。私は君を傷つけないよ」
どこか酷薄、とさえいえる笑みを浮かべて。
つい先日十四歳になったばかりのわたしと……彼は、正面から相対する。
緊張するな？ ……冗談にすらならない。血と闇に塗れた組織の頭を前に、泰然としていろと？
たった十四歳の、ただ少し記憶力が優れているだけの。
悪魔めいた奇才である治とは違って……何の役にも立たない子供であるわたし。
＿＿＿＿そんなわたしに対し、ポートマフィアの長が『生活を支援する』と申し出るなんて………何かしら理由がなければ、有り得ない。
「十四歳で天涯孤独。なんて不憫なのだろうね。
……君に太宰君がいて良かったよ、彼は君にとって最も大切な幼なじみであると同時に、命の恩人でもあるわけだ」
「……はい。治は自分の死より、わたしの生を選んでくれたみたいです」
憐れむような、同情するようなその双眸の奥にあるのは、冷酷な悪鬼の顔だ。
彼は自分を凌駕する可能性のある治という存在を受け入れ、同時に警戒するが故に……、
治にとって『人質価値』のあるであろうわたしを、掌中に収めようとしている。
彼にとってはわたしは、その程度の存在。わたしの生殺与奪権を握っているのは彼であり、同様に治の行動でもあるのだ。
「実は、君の御母堂はうちのフロント企業の顧問弁護士をしていてね。
我々と繋がりがあるのだよ……ああ、勿論彼女は自分が顧問をしているのがマフィアの傘下とは知らなかっただろうがね」
「……そうだったんですか」
とはいえ。
この人が何であろうと……わたしはこの人が居ないと生きることは出来ず、縋るべき糸はここにしかないのだ。
生きる目的がある以上、わたしが演じるべきなのは……『憐れむ大人と感謝する子供』という、茶番だった。
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さにー☆彡(プロフ) - やっさんさん» やばいです← 私の文スト作品は大体やばいです← 続編もよろしくお願いします← (2019年2月27日 22時) (
レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
やっさん - 最初から、一気に読みました。最初は、爆笑ラブラブ？展開のはずが、なんかとってもヤバそうな話に滝汗。引き続き、続編を読んでみます汗。 (2019年2月27日 22時) (携帯から) (レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 彼方さん» テストが終わったのでもうすぐ作ります笑 (2018年9月6日 18時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
彼方 - とっても面白いです。続篇まだですか？ (2018年9月6日 18時) (レス) id: 383b340c0d (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - はちさん» ありがとうございます！！ もうすぐ続篇も書きますので、よろしくお願いします！ (2018年8月27日 21時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さにー☆彡
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時：2018年5月5日 19時
