第二十三話 暗闇の中で ページ26
「……それは元々心配していませんよ」
『ん？』
その言葉に意外そう軽く目を見開いた彼女は、こてんと首を傾げた。
目の前の青年の鳶色の瞳に宿っているのは、『同類』への絶対的な信頼というの名の闇。
半年前、初めて会って友人になったその時から、彼女は青年の中での『格上の存在』となっている……それがたとえ“真実”ではなくても。
「あなたは何処か抜けているところもありますけど、Aを……一度懐に入れた人間を、怪我させるなんてヘマはしない人だ」
『……過剰な信頼だよ』
幼女の酷薄な笑みとアイスブルーの双眸の中に、冷徹な光が瞬く。
それに、と彼女はさくらんぼのように薄く色づいた、小さな唇を開く。
『この世に“絶対”なんて存在しない。
『
手にした携帯端末の画面を、彼女は目の前の黒い外套の青年と、帽子を被った青年に見せる。
それはなにかの家系図の写真。上に『
“�勝匹肇蹇璽淇�字が書かれた名前。それを指さし、幼女は表情を消す。
そこにあったのは虚無。彼女は徐々に、無機質で機械的な、人間らしさがなくなった……“ビスクドール”に変化する。
＿＿＿＿“Albert Lu Venere”
『私は、“身内の恥”を消しに来たんだから。
“作戦”のこともあるし……早く行動を開始しようよ、治兄、中也兄』
＊
＿＿＿＿ずきりと後頭部に痛みが走ったことで、私は目を覚ました。
身動ぎしようとして、何故か体に縄が巻かれていることに気づく。
「え、えと、あれぇ……？」
私は何故か、暗く、少し広い部屋の中にいた。辺りは闇に包まれ、ほとんど見えない。目が慣れるまでは時間がかかりそうだ。
下には申し訳程度に絨毯が敷かれていたが、雑に寝かされていたために全身が少し痛んだ。
縄は足首と胴体に巻かれ、上手く身動きが取れない。ちなみに部屋が防音なのか、猿轡は噛まされていない。
「えーと、私、誘拐……された？」
まって、記憶が。記憶が曖昧だ。どうしてこうなった、誰か説明して。
えっと、確か、私はティナちゃんを追って港まで来て、マスカレード・メイデン号に辿り着いて。
そこから記憶がない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 122人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やっさん(プロフ) - 設定ですが、太宰治さん、ティナちゃんの年齢に、触れたために、ティナちゃんにぶっ飛ばされて、行方不明ということで良いでしょうか？。余談、世界一周旅行(^_^;;かな苦笑汗汗。 (2021年10月18日 19時) (
レス) id: a424e1a16c (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - それにしても、彼女の、誕生日プレゼントで、10万ユーロ(1200万円)って(大汗)。ポートマフィアの、幹部の給料って、いったい!!。資金源は、あ、一億やそこら、痛くも痒くもないですか〜(汗) (2019年12月2日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん - さにー☆彡さん» 獄寺さんでしたか。失礼しました汗。余談ついでですが、太宰さんがインタビュー中に行方不明になったところは、ドッゴーン！！！キラッ！・・・滝汗ってところでしょうか？ろくでもない話ですみません笑。 (2019年5月7日 20時) (携帯から) (レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - やっさんさん» いいえ！雲雀さんはあんな喋り方はしません笑獄寺さんです！ (2019年5月7日 18時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
やっさん - さにー☆彡さん» 三十七話ですが、十代目が、沢田綱吉としますと、電話越しに、ティナちゃん？を怒鳴りつけていたのは、雲雀恭弥？さん？でしょうか？ (2019年5月7日 18時) (携帯から) (レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：さにー☆彡
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.phpこ/hovel/AKOwww1
作成日時：2018年4月30日 9時
