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ぱん、と乾いた音がして、目の前が赤く染まった。
一瞬で死ねなかった、ということは撃たれたのは身体か。
快斗は息を呑み、すぐにやってくるであろう痛みと衝撃に絶えるべく歯を食いしばる。
____しかし。
(あ、あれ?)
おかしい。いくら待っても、痛みがやってこない。
アドレナリンが出ているせいで痛みを感じないのかもしれないが、そういうわけでもなさそうだ。
何故なら…目の前で冷たい顔をしていたはずの田沢家綱がおかしそうに笑い出したからである。
「あっはは…おかし…! 見ました、今の顔!
てかどうだったリボコ。俺ちゃんと『ぽかった』?」
「まぁ、ダメツナにしては上出来だったんじゃねーか」
「え? …え??」
くるくると銃身を回しつながら答える少女に、田沢が嬉しそうに笑う。
雲雀は肩を竦めると、呆然とする快斗を見やってから田沢に視線を移し、「ノリノリだったね」と感想を漏らす。
そして快斗は目を瞬かせながら自分を見下ろす。
白いタキシードが、血にしては不自然なほど真っ赤な色に染まっていた。
「ぺ、ペイント弾だったんですか!?」
「驚いた? 俺達一応白マフィアだし、高校生殺したりしないよ。君も別に凶悪犯罪者って訳じゃないし」
「な、なんでそんな…」
ふざけたことを、と快斗が言う前に、田沢が静かに笑って言った。
身に沁みただろ、と。
「お仕置き、かな。あえて言うなら。
…君の獲物が俺達だったからまだよかったけど、これが他のマフィアだったら多分実弾だったよ、これ。
…いや、ボンゴレ相手でも10代目ファミリー以外だったら死んでたかもね。ボンゴレ内にもたくさん派閥があるから」
反論できずに、快斗は俯く。
ならばどうすればよかったのか。快斗がキッドであったなら、必ず組織には脅されたはずだ。
けれど田沢と雲雀がそれに答えてくれるほど親切であるはずもなく、ただ黙り込む。
「なら…なんで、江戸川コナンは巻き込んだんだよ? あいつは、探偵なだけなんだぞ」
「…うん、知ってるよ。これは雲雀さんの方が詳しいけどね」
まあ、と田沢は爆笑したせいか目尻に残ったままの涙を拭って続けた。
「強いて言うなら…うちの“裏切り者”が、彼を救いたいって思ってるから、かな」
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さにー☆彡(プロフ) - ぬこぬこさん» ありがとうございます……!これ書いた時ほんとコナンにわかでして……! ランボさんともどもすみません(・ω・`) (2019年4月1日 20時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
ぬこぬこ(プロフ) - 面白かった……( ゚д゚)でも赤井さんがいなくてちょっと寂しかったのと、ランボさん見たかった(´・ω・`) (2019年4月1日 19時) (レス) id: a359276646 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - やっさんさん» ありがとうございます! ボンゴレの在り方に関しては原作後の話なので想像になりますが、とにかく、ありがとうございます! (2019年3月7日 21時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
やっさん - さにー☆彡さん» 話に引き込まれるように読みました!ボンゴレについては、原作は読んでいませんが、マフィアと言うより、規律の厳しい正規軍!?という感じですね。それにしても、ボンゴレ桁外れの力です滝汗。確かに、黒の組織等、赤子同然かも・・・。 (2019年3月7日 20時) (携帯から) (レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 芳香さん» そう言っていただけると嬉しいです! 光栄です。・゚・(ノД`)・゚・。 ありがとうございます!! (2018年2月3日 11時) (レス) id: ec1d0032bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さにー☆彡 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2017年11月11日 20時