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「ごめんね、黒羽君。本当は何もしないで帰すつもりだったんだけど、うちの裏切り者が君に通じてるなら放っとくわけにはいかないんだよね。
それに仮にもマフィアに手を出したからには、君にもある程度は覚悟は決まっているんだろ?」
白だろうが黒だろうが、マフィアはマフィアなのだ、と。
裏社会を牛耳る若きゴッドファーザーは、そう言って酷薄に笑む。
「さあ、話してもらおうかな。黒の組織の情報を」
有無を言わさない笑顔で、田沢は顔を見るためにか快斗のシルクハットを取った。
唾を飲み込む。トンファーを構える雲雀よりも、拳銃を構える少女よりも、今はただ、自分と歳も変わらなそうな青年が恐ろしい。
「…そ、れは…この宝石は鍵なんだって、そう言ってた。だから盗んでこいってな」
無言で続きを促された。
「脅されて、それだけしか情報は与えられなかったけど…いくつか他にも調べたことはある。
マフィア界にしか存在しない、特殊な兵器なんだって? なんか…こういう感じの、小さい箱みたいな」
手のひらにすっぽり収まるサイズの? と聞かれて軽く頷く。
手に入れた情報は確かに、そのことだ。
「それがどんなものかは知らねぇけど…名前は知ってる。
それ、お前らが使う兵器の中でも、手元に置けば強力な力を誇示できるとして、中小マフィアや犯罪組織に狙われてるんだってな」
「うん、その通りだよ。確かにリングは鍵だ。…もう向こうは、
呟き、彼は冷えた瞳のまま音もなく立ち上がった。
そして問う。その兵器の名前を知っているか、と。
快斗は頷いた。
「パンドラ、だろ」
災厄の象徴。世界を滅ぼす魔の力。悪意に塗れた開かずの匣。
その兵器はその小さなサイズで、爆発的な破壊力を秘めているらしい。
語れることを全て語ると、田沢は静かに少女を見やり、言った。
「リボコ、もういいよ。欲しい情報は得られた」
「ああ」
「…え?」
光りする銃口が、視界の前でちらつく。
待てよ、と声を上げる。
話したら解放してくれるんじゃなかったのか、と立ち上がろうとしても、体は押さえつけられたままだ。
「だから最初に謝ったでしょ? ごめんねって」
君は知り過ぎたんだよ、と。
少女の指が、引き金を引く。
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さにー☆彡(プロフ) - ぬこぬこさん» ありがとうございます……!これ書いた時ほんとコナンにわかでして……! ランボさんともどもすみません(・ω・`) (2019年4月1日 20時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
ぬこぬこ(プロフ) - 面白かった……( ゚д゚)でも赤井さんがいなくてちょっと寂しかったのと、ランボさん見たかった(´・ω・`) (2019年4月1日 19時) (レス) id: a359276646 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - やっさんさん» ありがとうございます! ボンゴレの在り方に関しては原作後の話なので想像になりますが、とにかく、ありがとうございます! (2019年3月7日 21時) (レス) id: 632d3b069c (このIDを非表示/違反報告)
やっさん - さにー☆彡さん» 話に引き込まれるように読みました!ボンゴレについては、原作は読んでいませんが、マフィアと言うより、規律の厳しい正規軍!?という感じですね。それにしても、ボンゴレ桁外れの力です滝汗。確かに、黒の組織等、赤子同然かも・・・。 (2019年3月7日 20時) (携帯から) (レス) id: 6ef490f023 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 芳香さん» そう言っていただけると嬉しいです! 光栄です。・゚・(ノД`)・゚・。 ありがとうございます!! (2018年2月3日 11時) (レス) id: ec1d0032bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さにー☆彡 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2017年11月11日 20時