【REBORN!×名探偵コナン】パンドラの匣【下】

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コナンの耳元で、つまり眼鏡の縁についた装置が、ぐしゃり、と発信機が潰される音を拾った。


思わず、息を呑む。


駐車場の入口まで辿り着き、なんとかではあるが姿を視認できる距離で会話を聞いていたのに、いきなり発信機が壊されたのだ。


雲雀Aにバレたのではない。ジンに露見したのだ。



「やばいな……」



隣でぼそりと、安室が言葉を零す。


わざわざ口に出さなくてもわかる状況だ。……そして真にまずい状況に置かれているのは、雲雀A。


裏切り者なのか、それともただのボンゴレ側の多重スパイなのか。


それはわからないが、コナンは伊達眼鏡の機能を使って目の前の光景を拡大し、何が行われているのかをより詳しく知ろうとする。



＿＿＿＿ジンが彼女に、銃口を向けていた。



しかし彼女はそれを恐れていないのか、表情はぴくりとも動いていない。


軽く握られた拳の指には、例の『魔のアレキサンドライト』。


それを差し出せという意味なのか、ジンは彼女に銃口を向けたまま何かを言う。



(…これを見るのは、オレじゃだめだな)



即座にそう判断したコナンは、伊達眼鏡を安室に渡すと、「唇を読んで」と頼む。


すぐに彼の意志を察した安室は、何かを言ったジンに対して、彼女がなんと答えたのかを口にしていく。



「……『私を疑うおつもりですか。知らないものは知らないと言っているでしょう。


私はあなたがたの組織に3年所属し、仕事の計画を完璧にこさえ、1度も失敗したことはありません。


この手で仕事を実行したことはありませんが、あなたがたにもたらしたメリットは多大なものになるはずですが』」


「3年……」



……それは、長い期間のようにも、短い期間のようにも思える時間だ。


だが問題はその期間の長さではない。


ボンゴレと、黒の組織。


どちらの組織の方が長く在籍していたか……それが、彼女がボンゴレ側か組織側かを判断する材料となるのだ。



「コナン君、今度はジンだ。


『確かにそうだが、それだけではお前を裏切り者ではないと判断する材料にはならない。


お前が裏切り者でないと証明するために、そのアレキサンドライトを渡せ。今すぐにな』」



銃口は逸れない。


同じように、彼女も動きはしなかった。

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