【ONE PIECE】元日本人は、エースの兄貴になったらしい�◆效房隋�

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あかり、とエースが小さく呟くのが見えた。


おれは軽く笑うと、続ける。



「ただ、主人公が順風満帆な人生を送れていたのは、18歳までだった。


その国では、多くの人間が23歳から独り立ちをし、それまでは学生として多くを学んでいくんだ。


大学に合格早々、主人公は突如事故で両親を失ったんだ」



エースの眉間の皺が深くなったのがわかった。


もともと親のいないエースが、日本人の感覚を理解するのは難しいかと思ったが、


そうでもなかったようだ。



「自分はともかく、それまで両親の庇護下にいた幼い妹が独り立ちできるわけがない。


学生である主人公は困惑した。


妹をどうすればよいのか、どうすれば妹にとって最善なのか、ずっと悩んだ。親戚に預けるか、それとも、とな。


そして決めたんだ。


妹のことは自分が育てる、と」



＿＿＿＿『あかり。今までどおり、おれと一緒に暮らそう』


＿＿＿『あかりを1人にはしないよ。絶対に』



「幸いなことに、主人公の幼なじみで、高校卒業と同時に婚約した女性…さくらは、『万能の天才』と呼ばれていた。


それに、彼には頼れる友達もいた。


主人公は独りじゃなかったんだ。


…でも」


「でも？」



エースが疑問の声を上げる。



何度思い出しても、忌々しい。


忘れたいのに、忘れられない、血塗られた思い出。



「ある日さくらが殺された。主人公が20歳の時だ」


「！！」



エースの目が見開かれる。



「犯人は、当時有名だったサイコパス…シリアルキラーの犯罪者だった。


婚約者を失った主人公は、警察機関に入って、その犯人を捕まえようとした。


けど、そいつは5年経っても罪のないカタギの人間…しかも女性を手当り次第殺し続け、


挙句の果てには…」



そう。


あの時おれが。


あの日おれが、あかりのそばにいてやれていたら。



「15歳のあかりが人質にとられたんだ」

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