だから、終止符を打つ 七 ページ48
……『答え』を聞いても、太宰幹部がそれから何かを云うことはなかった。ただ黙ったまま満足そうに笑うだけ。
『幸せを望まない』わたしが、太宰幹部を『早く行け』と急かしたあの時から、彼はわたしの気持ちに気がついていたんだろう。
わたしも、
「……君は、一人で死ぬのは寂しいと……そして、復讐をするためにここにいると云った。
その意味はもう解ったよ。……君がポートマフィアを出るのは、君が死ぬ時なのだろうね」
頷いた。
織田作さんの最後の言葉を聞いて、あなたはわたしから離れていく。
全ては決まっていたことだ。
「……Aさん、全ては君の予言通りになった。
君は全てを知っていたんだ____織田作が、死ぬことも」
勿論、これから私が何処へ向かうのかも、と云うと、彼は静かに椅子から立ち上がった。
そして悲哀に満ちた瞳のまま、彼はわたしに銃口を向ける。
「……仕方がなかったのは判っているんだ。君は数日ずっと倒れていて、私に織田作の危機を伝えることは出来なかった。
だがそれでも____私は君を許さない。絶対に」
「……はい」
でも……と彼は銃を捨て、目を伏せた。
ごとりという音ともに、彼は……“太宰さん”は、顔を歪めて告げた。
「私はこの世の誰よりも、君のことが好きだ」
どうしようもないくらいに、惹かれてしまった。
結ばれないことは自身が一番判っている、それでもわたしも、彼を好きになってしまった。
……酷似した孤独を抱えた者同士だから。
闇の中で一人ぼっちで蹲っているのは同じだから。
「わたしがあなたのことを絶対に救えないように」
「私も君のことは絶対に救えない」
嗚呼、そうだ。この恋は最初から、交わる筈のないものだった。
だからずっと、始まる前に終わらせたかった。
でももう、わたしはあなたを好きになってしまった。
____だからもう、終止符を打とう。
……太宰さんは瞼をゆっくり持ち上げると、そのままわたしに背を向けた。
わたしは何も云わずに、ただ彼が去るのを待つ。
「……愛しているよ」
「……ええ、わたしもです」
その答えを聞くと、太宰さんはそのまま扉に向かって歩き出した。
わたしは二度と“引き止める”ことなどしない。
____そして、もう彼が振り返ることも、二度とないのだ。
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やっさん - さにー☆彡さん» 後書きの羊の宰相、リンク、スタートになってますけど笑。徳田さんの、転生前の本名は、謎のままでしたか... (2019年8月10日 9時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - くどはるさん» ありがとうございます……!!そう言って頂けてとても光栄です!太宰さんは妖艶でないとだめですよね笑ちゃんと書けていたでしょうか笑…続きではありませんが、後書きにある作品がこれにリンクしたものとなっています。ご興味あればぜひどうぞ! (2019年7月23日 7時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
くどはる - こんなに読み込んだ作品は初めてです…作者様の言葉の卓越さや文章の造りに心底惹かれました!!一つの小説として、何度でも読みたくなってしまいます!太宰さん最高に妖艶です。続きを期待してしまいますが、また新しい小説楽しみに待ってます!素敵なお噺ありがとう! (2019年7月23日 1時) (レス) id: 356a43a05c (このIDを非表示/違反報告)
さにー☆彡(プロフ) - 涼風梓さん» なかなかに長い話でしたが最後までお付き合いくださってありがとうございます!!楽しんでいただけてよかったです! (2019年6月6日 15時) (レス) id: 6034bec340 (このIDを非表示/違反報告)
涼風梓(プロフ) - 初コメ失礼します!とても面白かったです!面白くて一気見しちゃいましたw今更かも知れませんが完結おめでとうございます! (2019年6月6日 15時) (レス) id: b666f93d0b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:さにー☆彡 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hovel/AKOwww1
作成日時:2018年3月24日 21時