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わたしは駆け出した。
逃げた。
あの場にいたくなかった。
家に着いたらすぐに部屋に引きこもった。
力が抜けて、その場に座り込む。
―――あーあ、失恋しちゃった。
失恋ってこんなに重いものだったかな。
遊びだったなんて嘘。
引き返せる場所にいたなんて嘘。
もうとっくに慧の沼に嵌ってたんだ。
結局こういうオチになっちゃったけれど。
自分が愚か。
頬を熱いものが伝う。
慧のことで初めて泣いた。
それくらい、わたしは慧が好きだったんだ。
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お母さんにご飯よーと呼びかけられ、のろのろとリビングへ向かう。
着替えていないことに驚かれた。
ぼーっとしたまま着替えてお風呂に入って。
今日のことが夢みたい。
明日会えば慧は笑ってわたしの名前を呼んで、手をつないできて。
今もほら、くだらないラインが入ってたり―――。
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作者名:わたあめなのは | 作成日時:2022年11月2日 16時