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溶け落ちた腕を抑えて、男は悲鳴を上げる。
彼女は男を見据えていた。
「……駄目だ」
震える声に、彼女は男から視線を移し、優を見た。
そして、何で、と言おうとして、
その言葉を飲み込んだ。
彼女の頬に添えていた血塗れの手が彼女の頬を掻いた。
その顔は、青ざめている。
「やめてくれ、」
彼女が男を傷付けたことを理解したのだろう。
顔は青ざめている。
「殺すのだけは、駄目だ」
喘ぐように優は言う。
「どうして、それくらいのことを、
この人はしたのに？」
彼の罪は、私を守る為。
他の罪は、誰かになすりつけられた為。
「理解しようとしない。見ようとも、してくれない。
そんな人に貴方が殺されるのを、
見るだけなのは、いや」
どうして駄目なの。
泣きそうな顔で優を見る。
「どうして、」
優は、彼女の襟を掴んだ。
息が掛かる程、近くに引き寄せる。
「俺を、言い訳にするな」
優ははっきり言った。
ぴく、と彼女の指が震える。
「殺すのは、悪いことだ」
それを犯した自分は、痛いくらいに分かっている。
方法はいくらでもあったのだ。
成人するまで彼女の記憶を消し続ければ、
きっと平和な暮らしも出来た。
何十回、何百回も、そう考えた。
だけど自分は、怪物と言えども、
苦痛から逃れたくて、
人を殺したのだ。
彼女を、理由にして。
「綺麗なままでいて欲しいんだ」
善良な彼女は、
善良で居なくてはならない。
懐から、紅い硝子玉の入った瓶を取り出す。
これは、彼女の記憶の破片。トラウマの塊。
優が願えば、彼女の記憶は彼女に還る。
「ごめんな、我儘で。
俺のせいで、お前はまた、傷付くんだ」
残酷とも言える記憶を戻せば、
彼女がどうなってしまうかは、分かっていた。
その瓶を優は握った。
ぱり、と中の硝子玉が弾ける。
「俺を恨んでいい、
だけど、殺すのだけは、駄目なんだ」
崩れた硝子玉は、僅かな光を帯び、
彼女の額へと吸い込まれた。
刹那、彼女の顔が歪む。
手を汚しては、
犯罪を犯せば、
結局それは、
俺達を傷付けた化け物達と同じだから。
怪物になってしまうのは、
彼女に取って1番残酷なことだから。
だから。
「A。本当に好きだ、愛してる」
過去で、記憶で、
お前が苦しんでも、辛くても、
怪物にだけは、ならないように。堕ちないように。
俺は綺麗なお前だけを見ていたい。
「…赦してくれ」
お前なら乗り越えられるよ、なんて
無責任な言葉を吐いて、
目を瞑った。
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maro(プロフ) - こういう弔くんの夢小説を探していたんです......!!!見事にどっぷりハマりました👍🏻 ̖́-︎続きを気長に待ってます！！ (4月12日 14時) (
レス) id: 89c84e5ca3 (このIDを非表示/違反報告)
もあ(プロフ) - すごい考えられた話で たまげました！とむとむのこうゆうお話あまり無いのですが、どストライクすぎて何回も読ませていただきました🥰お忙しいとは思いますが、続きを楽しみにしています！ (8月16日 20時) (レス) id: 595898a75e (このIDを非表示/違反報告)
ノア - わぁぁ！めちゃくちゃ続き気になります！！夢中で読んでしまいました！笑続き待ってます！ (2022年7月13日 14時) (レス) @page44 id: da656baae2 (このIDを非表示/違反報告)
Yo - 読んでめっちゃドキドキしてました！！ゆっくりでいいので続き楽しみにしています(^^)更新頑張ってください！ (2022年3月12日 23時) (レス) @page41 id: b7d6e0178a (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - えぬえさん» 返信遅れて申し訳ないです…🙇♀️ここまで至るに随分時間がかかってしまい…亀更新なのに読んでくださり感謝しかないです…！コメントは力の源…！頑張ります💪 (2022年1月1日 1時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華羅夢 | 作成日時：2021年9月17日 10時
