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「そういえば、お名前聞いてませんでしたね」
彼女がチェス盤を片した後、
男に水を出しながら言った。
「今筋強斗だ。マスキュラーって呼ばれてら」
男、マスキュラーは水を飲んで答えた。
「ごうとさん、」
彼女は復唱する。
食器を洗い流しながら、微笑んだ。
その様子を、ぼんやりとマスキュラーは見ている。
怯えもしない。逃げもしない。
死柄木が怒るかどうかは正直どうでも良い。
誰でも良いから、嬲る相手が欲しかった。
だが、彼女を殺しても、
期待するような悲鳴や表情が得られないことは、
何となく感じ取っていた。
「おまえ、つまらんな」
マスキュラーの呟きに、彼女は瞬きをして、答えた。
「またチェスしますか」
チェスは懲り懲りだ、とマスキュラーは答えた。
くすくすと笑う彼女に、眉を顰める。
「じゃあ、次はオセロか、将棋にしましょう」
変なガキだ。
少し、いやかなり可笑しい。
それとなく噂で死柄木に女がいる、と言うのを耳にしたが、
成る程全然普通では無い。
そもそも高校一年生、身体付きは良く、身長も高めで、
それなりに身なりを整えれば大学生くらいには見えるだろうが、女じゃなくてガキだ。
なのに、口振りは落ち着いて、妙に気持ち悪い。
「？どうかしましたか」
スゴロクの方が良かったですか、と聞く彼女を見て、
子供扱いされてるんじゃないかと耳を疑った。
「そうじゃねえよ、変なガキ。
お前こそさっき俺に聞いたが、
お前はどうなんだ？何人殺した？」
マスキュラーが聞くと、彼女は俯いた。
絞り出すような小さな声で、答えた。
「…腕を、一本吹っ飛ばしました」
かなり悩ましげな顔をして、罪悪感たっぷりの表情だった。
「は、ガキだな」
「人を傷付けるのは、良くないことですよ」
マスキュラーの感想に即座に答え、
反省するべきです、とはっきり言う彼女は、
敵とは真反対だ。
自分を否定された気がして、マスキュラーは不機嫌になる。
「俺は、したいことするだけだ」
「私は、私に対して言ってるんです。
ごうとさんに強制はしません」
私は殺したくないから、殺さないんです。
そう彼女は言った。
殺せないじゃなくて、殺さない。
彼女は自分の言ってることに気付いているだろうか。
人を殺せないのと、殺さないは、違う。
成る程。彼女は、染まりきっていないだけだ、
蛹の中から美しい蝶が出てくる姿を想像して、
彼女が人を殺す時が来るのが楽しみだ、と
マスキュラーは密かに笑った。
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maro(プロフ) - こういう弔くんの夢小説を探していたんです......!!!見事にどっぷりハマりました👍🏻 ̖́-︎続きを気長に待ってます！！ (4月12日 14時) (
レス) id: 89c84e5ca3 (このIDを非表示/違反報告)
もあ(プロフ) - すごい考えられた話で たまげました！とむとむのこうゆうお話あまり無いのですが、どストライクすぎて何回も読ませていただきました🥰お忙しいとは思いますが、続きを楽しみにしています！ (8月16日 20時) (レス) id: 595898a75e (このIDを非表示/違反報告)
ノア - わぁぁ！めちゃくちゃ続き気になります！！夢中で読んでしまいました！笑続き待ってます！ (2022年7月13日 14時) (レス) @page44 id: da656baae2 (このIDを非表示/違反報告)
Yo - 読んでめっちゃドキドキしてました！！ゆっくりでいいので続き楽しみにしています(^^)更新頑張ってください！ (2022年3月12日 23時) (レス) @page41 id: b7d6e0178a (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - えぬえさん» 返信遅れて申し訳ないです…🙇♀️ここまで至るに随分時間がかかってしまい…亀更新なのに読んでくださり感謝しかないです…！コメントは力の源…！頑張ります💪 (2022年1月1日 1時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華羅夢 | 作成日時：2021年9月17日 10時
