11 ページ11
その朝、いつも早くに、
学校で本を読んでいる彼女が居なかった時から、
違和感はあったのだ。
クラスメイトが次々と教室に来る中、
始業の鐘が鳴る直前になっても、
相澤が気怠そうに教室に入り、朝礼になっても、
彼女は来ない。
1人分の机がぽかりと空いたその風景は、
彼女が居なかった時とそっくりで、
『最悪』を想像せざるを得ない。
A組の一同も、彼女が居ない空間を意識し始めた。
体調わりぃのかも、という切島も明るく言おうとしているが、不安が滲んでいる。
爆豪がその不安を確信してしまったのは、
相澤が空いた机を見て顔色が変わったからだった。
体調不良なら事前連絡があるはずだ。
爆豪はスマホに文字を打ち込む。
『なにしてんだ』
何回かメッセージを送ったが、
一向に返事は来なかった。
「相澤先生！！」
教員の1人が教室に駆け込んで来た。
顔色は真っ青で、声は震えている。
「Aさんの、送迎用の車が、行方不明に______」
不安を抱えて口を噤んでいたA組の生徒が、
その台詞に慌しく席を揺らした。
騒ぎ出しそうになる生徒を、相澤が制す。
「お前らは此処に居ろ、
勝手な行動は___________」
ボンッ、と爆発音がした。
爆豪が教室を飛び出そうとして、
相澤が操縛布でそれを引き留めた。
絡み付く布から顔を這い出して、
耐えられないとばかりに叫ぶ。
「っっっんでだよ！！！
また、アイツが___」
「爆豪、お前に出来ることは無い」
大人しく待ってろ、と相澤は厳しく制した。
爆豪も馬鹿では無い。
自分が無力なのは、分かっていた。
分かっていたから、唇を噛み締めた。
「………クソがっ………」
絞り出すような声に、相澤は操縛布を緩めた。
「_____で、状況は」
廊下へ出て教員の報告を聞く。
「施設の門から出た直後から、
学校とは反対方向に向かったそうです。
見送りをしていた女子中学生からの証言です。
あと、彼女の電子機器からの発信は、
高速道路付近で途絶えていて、」
直後、ヒーロー要請が、
車の進行方向先の、港町から出ていたようで。
教員は送られてきた報告書をめくりながら
相澤に説明する。
「……車が出たのは、午前6時。
今の時刻は、8時。
今からこの地区のヒーローを派遣しても、
追いつかないでしょう」
その地区のヒーローがどうにかした、と言う報告を、
またなければいけない。
「…午後には報告が来ると思いますが、」
不安そうに言う教員の発言に、
相澤は溜息を吐いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1472人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
maro(プロフ) - こういう弔くんの夢小説を探していたんです......!!!見事にどっぷりハマりました👍🏻 ̖́-︎続きを気長に待ってます！！ (4月12日 14時) (
レス) id: 89c84e5ca3 (このIDを非表示/違反報告)
もあ(プロフ) - すごい考えられた話で たまげました！とむとむのこうゆうお話あまり無いのですが、どストライクすぎて何回も読ませていただきました🥰お忙しいとは思いますが、続きを楽しみにしています！ (8月16日 20時) (レス) id: 595898a75e (このIDを非表示/違反報告)
ノア - わぁぁ！めちゃくちゃ続き気になります！！夢中で読んでしまいました！笑続き待ってます！ (2022年7月13日 14時) (レス) @page44 id: da656baae2 (このIDを非表示/違反報告)
Yo - 読んでめっちゃドキドキしてました！！ゆっくりでいいので続き楽しみにしています(^^)更新頑張ってください！ (2022年3月12日 23時) (レス) @page41 id: b7d6e0178a (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - えぬえさん» 返信遅れて申し訳ないです…🙇♀️ここまで至るに随分時間がかかってしまい…亀更新なのに読んでくださり感謝しかないです…！コメントは力の源…！頑張ります💪 (2022年1月1日 1時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：華羅夢 | 作成日時：2021年9月17日 10時
