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「出かけるか、一緒に」
彼女の頭を撫でていた彼が突然言った言葉に、
彼女は目を丸くして、しばらく返事が出来なかった。
「……え、」
「鎖も、痛かっただろ」
気遣わしげに、死柄木はあざになっている脚に触れた。
彼女に触れた熱が忘れられず、すり、と撫でる。
「もう、着けなくていいよ」
赤黒い肌を労りながら、死柄木は言った。
いつも薬指に巻いている包帯を取り、彼女の足枷に触れる。
「わ……」
砂の様にぽろ、と崩れ落ちていく鉄の枷を見て、
彼女は思わず感嘆した。
軽くなった脚を確かめるかの様に動かして、
本当に無くなったのかを確かめる。
「すごい、あっという間に………」
彼女がすごい、と言いながら、死柄木の方を向いた。
彼は何とも言えない顔をして気まずそうに頬を掻いた。
彼女に嫌われたくないばかりに、
最初に出会った時の自分の態度や個性の話をだいぶ省いていたからだ。
それだけではなく、
彼女がどのような経緯で記憶を無くしたかも、
記憶が蘇るきっかけにならないように言わなかった。
「あーーー、これは……俺の"個性"で、」
ちら、と彼女を見る。
たとえ初めて会った時に個性について怖がられ無かったとしても、今回は分からないのだ。
賢い彼女は死柄木に言われなくても、
誘拐されてここにいることに、
とっくに気付いているはずだから。
俯いて、彼女の返事を待った。
もし、彼女がこの場で、
「抵抗すれば殺されてしまうかもしれない」
と少しでも感じてしまったら。
それで、壁を作られでもしたら。
きっと裏切られたと感じて、
「外に出ようか」なんて馬鹿な誘いは、二度としないだろう。
＿＿＿＿怖がるか、笑って受け入れるか。
不安と期待を抱えたまま答えを待つが、
いつまで経っても答えない彼女に、
ああ、やっぱりそうなのかと思ってしまった。
もういい、と言おうと顔を上げた。
彼女の顔を見て、それをやめた。
溢れ出る疑問を自分で解決しようとするような、
死柄木の言葉が、そもそも理解できていないような態度だった。
彼女は困っていた。
死柄木に見詰められていることに気付き、
少し迷った後、死柄木に恐る恐る聞く。
「死柄木さん、
個性って、なに？」
「………………は？」
彼女の記憶がどこまで無いかなんて、
今まで知ろうとも、興味もなかった死柄木は、
困ったようにぎこちなく微笑む彼女に、
しばらく、答えることができなかった。
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華羅夢(プロフ) - ぽいぽいさん» 何ですって！！ぜひ死柄木くん推しになってくださいな！！彼は魅力的な男です！！コメント嬉しいですありがとうございます････！ (2021年9月19日 8時) (
レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - この作品で死柄木くん推しに傾きつつある…好きです応援してます頑張ってください!（ノンブレス） (2021年9月19日 7時) (レス) id: 1142a6ee8a (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - れのまるさん» うわああありがとうございます･･････！コメントが1番のモチベになるのですごく嬉しいです！頑張りますね！ (2021年9月14日 14時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
れのまる - 死柄木さん最推しなのでこの作品めっちゃ好きです…！これからも応援してます！ (2021年9月14日 7時) (レス) id: ce403bbca4 (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - しいたけさん» しいたけさん、もしかしなくても2回目のコメントですか･････････？コメント来るのが1番嬉しいので、大喜びで話を書いてしまいました！楽しんで頂けて何よりです！！ありがとうございます！ (2021年9月11日 10時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華羅夢 | 作成日時：2021年8月23日 1時
