44 本当の記憶 ページ46
優 side
幼い頃から優と彼女は一緒に居た。
彼女はよく笑う。
孤児院の環境が劣悪だったとしても、
周りに対して彼女が不満を出すことは無かった。
院長は、よく殴る人だった。
なりふり構わず殴る人だった。
「優、来い」
名前を呼ばれるのが嫌だった。
それは殴られる合図だからだ。
孤児院には十数人の子供がいた。
誰も助けようとなんかしない。
「いんちょうせんせい、」
彼女だけだった。
助けようとしたのは。
その時は4歳。
何で暴力を振われるかすら、分からない年齢だった。
「やめて、せんせい。ね、おねがい」
微笑んで、笑って、
院長の服の裾に縋り付いた。
「ゆうくんに、ひどいことしないで、」
「…………A、お前って奴はぁ」
院長は優から目線を逸らして、
彼女の目線に合わせてしゃがみ込んだ。
ほんとに健気で可愛いなぁ、と
何とも気持ち悪い声で彼女の腕を握った。
「じゃあ院長先生の部屋に行こうか。
お前がお茶を入れてくれ」
「うん、」
思えば、その時が始まりだった。
それ以来、明らかに彼女は笑顔が減った。
「A、だいじょうぶか？」
「ゆうくん、」
うん、だいじょうぶ。
だいじょうぶだよ。
彼女はそう言う。
安心させるように、優の目を見つめて、
微笑んで言う。
「……A、なにがあったんだ」
ううんなにも、と答える彼女は、
明らかに『大丈夫』じゃ無かった。
「A、」
「ほんとうだよ」
「なにもない？」
「うん」
子供に感情を抑えるなんてことは出来ない。
明らかに苦痛が滲んでいる顔に、
Aの頭の中を、覗けたら、
そう思った。
そして、まだ強がって笑う彼女を
どうしても助けたくて、慰める様に頭を撫でた。
その時。
『せんせ、な、に、…して』
『や、だ』
『やめっ、て…………』
頭の中に、彼女の悲痛な声が聞こえた。
彼女の視点から見た景色も見えた。
子供にその光景の意味なんて理解できない。
だが、彼女を見る院長の顔が余りに醜いことだけは分かった。
「A」
「うん、なあに」
「……おれが、とってあげる」
「え？」
戸惑う彼女に優は微笑んだ。
何をすれば良いかは、わかっていた。
彼女の頭を撫でている手に、少し意識を集中させた。
醜い。
汚い。
そんなもの、彼女には必要ない。
俺がそんなもの、消してやる。
彼女は意識を失って倒れ込んだ。
彼女の頭を撫でていた手の中には、
紅い硝子の玉が、１つ転がっていた。
それが始まり。
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華羅夢(プロフ) - ぽいぽいさん» 何ですって！！ぜひ死柄木くん推しになってくださいな！！彼は魅力的な男です！！コメント嬉しいですありがとうございます････！ (2021年9月19日 8時) (
レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - この作品で死柄木くん推しに傾きつつある…好きです応援してます頑張ってください!（ノンブレス） (2021年9月19日 7時) (レス) id: 1142a6ee8a (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - れのまるさん» うわああありがとうございます･･････！コメントが1番のモチベになるのですごく嬉しいです！頑張りますね！ (2021年9月14日 14時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
れのまる - 死柄木さん最推しなのでこの作品めっちゃ好きです…！これからも応援してます！ (2021年9月14日 7時) (レス) id: ce403bbca4 (このIDを非表示/違反報告)
華羅夢(プロフ) - しいたけさん» しいたけさん、もしかしなくても2回目のコメントですか･････････？コメント来るのが1番嬉しいので、大喜びで話を書いてしまいました！楽しんで頂けて何よりです！！ありがとうございます！ (2021年9月11日 10時) (レス) id: 89a4c751b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：華羅夢 | 作成日時：2021年8月23日 1時
