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第四話 きっと幸せじゃない ページ9





鬼を滅する彼らは良くいえばかっこいい。

悪く言えば、馬鹿だ。

鬼に勝てるはずがない。

鬼を倒して人助けなんて、頭が花畑。

私は、そんなかっこいい主人公のヒーローになりたいわけじゃない。

ただ、

殺したかった人のため、

大好きな人のため、

鬼を倒せる唯一の武器である日輪刀を手に入れたかっただけ。







_








『炎柱様。私は、自分のエゴでしか動きません。

貴方様のように、まっすぐで綺麗な人になりたかった』








_








「にいに、は、今日もいないの?」

「はい、最近忙しいようで」

「つまんないの」



にいには、最近遊んでくれなくなった。
理由は実に単純なもの。

いくら時間が経てど、彼女の血鬼術がとけずにいること。

それだけなら良いのだが、徐々に彼女から鬼の気配が強まりつつあること。

ゆえに、早く血鬼術を解く方法を探っているのだが、手がかりは今一つつかめずにいた。





「にーちゃ、お外、おそと!!」




鎹烏としばらく遊び相手になってもらっていたが、それも飽きてきたAは外に出たいと口を開いた。

こうなると、何が何でも外に出るまで駄々をこねるA。
そのことを知っているにーちゃ、基千寿郎は「すこしだけですからね」と彼女の手を引いた。





自身の屋敷をぐるぐる一回り、散歩がてらに歩くつもりだった。




「あ、くもさん」



数分後。彼女が昆虫に興味を示す。
続いて千寿郎も彼女の視線を追った。

道端にいたいっぴきの蜘蛛。
赤い斑点模様が特徴的な蜘蛛にどこか不安を覚えた千寿郎はAの腕を引き、「帰りましょう!!」と言う。

つられてAも千寿郎と共に走って玄関の方へ向かうが、

蜘蛛は逃がすまいと、凄いスピードで二人を追い、

あっという間にその距離ゼロセンチ。


初めに、千寿郎の肩に乗ってくる。

気持ちわるい感触を覚え、千寿郎は蜘蛛を手で払いのけるものの、

全くひるまずAの足をよじ登っていく。





「、いやっ、ぞわぞわする!!」




涙目で訴えかける少女。





「な、」





毒でも加えられたのか。

行動の制御がきかない。うまく体を動かせず、空気を身体に取り込むのが精いっぱいで、千寿郎は地に伏せてしまった。

何とか、Aでも。

そう思い、顔を上げた彼であったが、




「消え‥」




そこに女の子の姿はなかった。

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- 続き楽しみにしてます(●´▽`●) (2021年10月1日 8時) (レス) id: ed2686deb5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灯り | 作成日時:2021年6月6日 19時

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