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第2話 迷子の五歳児 ページ2










「う…」







その日は雨が降っていた。

ただ、目が覚めたら頭が痛くて、

「生きたい」と思う気持ちでいっぱいで、

「死にたくない」と願うばかりで、



ただただ、誰かを恨んでいた…ような気がする。
大っ嫌いなそいつの名をつぶやきながら歩いていたような、

でも私の小さな声は雨によって消されていく。

同時に記憶もあいまいだった。


ぼんやりと覚えているのはあたたかな愛情だけ。

それが誰から向けられたのかはわからない。







「助けて…だれか、救って」







私の声は誰にも届かない、と思ってた。

「こどもが倒れています!!!!」






私のすぐそばで声がした。
そして誰かに抱えられる。

雨で冷え切った体が、目の前の人の体温で温まられていくことがわかる。






「鬼に襲われたのか!無事か」
「あったか…い」
「君は…」





「あったかいや」






なにかを思い出せそうで何もわからない。
それが悔しくて、
私は、ぎゅっと目の前の男の体に抱き着いた。






「独りで辛かったな、すぐに治療する」





頭を撫でられる。
とても安心する手で触れられたことで
気が緩み眠くなる。





「死んでも、かまわないよ」






狭まる視界と遠くなる意識の中で言った。
死んだって、あなたのせいじゃない。

それに私は自分でもわかるほどの致命傷。
助かるはずない。







「死なせない、」








その言葉を最後に、

意識はプツリと切れた。









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- 続き楽しみにしてます(●´▽`●) (2021年10月1日 8時) (レス) id: ed2686deb5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灯り | 作成日時:2021年6月6日 19時

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