10話 ページ12
Noside
入学式3日目のこと。
サバナクローの談話室では、気高きライオンの獣人と、今にも噛みつきそうな犬の獣人が目をギラギラと光らせていた。
『オイオイ、寮長さんよォ。』
べロリと舌なめずりをし、壁にもたれてかかっていたAは体を持ち上げる。
レオナ「……要件はなんだ。」
平らな岩の上で優雅に座っていたレオナは、目を細めてAの様子を伺う。
『ヒャハハ、んなに焦らなくてもいいだろォ?』
スタスタとレオナとの距離を詰め、レオナに影が差し掛かったところまで来ると、レオナを見下ろす。
『俺様と勝負しろ。』
サングラスを外し、髪をかきあげたAはニタァ、と笑う。
そんなAと比べ、レオナは冷めた様子でため息をついた。
レオナ「入学式から俺のやり方に不服がある奴は何度か挑んで来たが、全員弱すぎて相手にならなかった。」
『ハァ?俺様も相手にならねェってか?』
レオナ「見れば分かる。テメェみてぇな人を舐め腐ってる奴と戦うなんざ、時間の無駄だ。消えろ。」
シッシッ、と手で追い払う素振りをしたレオナを他所に、Aはフン、と鼻を鳴らす。
『俺様に負けるのが怖いってのかァ?やっぱりなァ!!!俺様、地元では負け知らずだったからなァ!!!』
井の中の蛙とはこの事か、とレオナはAを背にして寝転び、滝の音をBGMに目を閉じる。
『チッ…まあいい。そっちがその気なら、こっちから行かせてもらうぜェ?』
準備運動をして、袖を捲るA。
レオナは静かに聞き耳を立て、Aがどう攻めてくるかを探る。
『俺様がテメェごと綺麗に片付けてやるよ。』
そう言ったAは、ダッッと思いっきり地面を蹴りあげる。
対するレオナはため息をひとつ着くと、マジカルペンを構えてAの方に素早く向き直る。
レオナ「…………あ?」
だがそこには、拳を振りかざす訳でも、マジカルペンを構えている訳でもなく、ただひたすら床をブラシで擦るAの姿があった。
シャッシャッシャッシャッ
『ギャハハハハハ!!!!見ろ寮長!!!頑固な黒ずみが一掃されてくぜェ!!?』
シュッシュッシュッシュ
『実力差を見せつけられて声もでねェってかァ!!』
シャカシャカシャカシャカ
『降参するなら今のうちだぜェ!?』
ザパァーーーッ
『アレ…いねェ…?』
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くるみ - 可愛すぎて「かわいい、、きゃわ、、きゃわわ、、」しか言えなくなりました。この夢主君のおかげで新地開墾されました。犬(系)男子最高🤦♀️🤦♀️🤦♀️ (9月4日 1時) (レス) @page12 id: b3862cde2f (このIDを非表示/違反報告)
眠(プロフ) - 可愛いかよ最高ですケヒヒ (8月22日 22時) (レス) @page12 id: bd711603c0 (このIDを非表示/違反報告)
泉谷(プロフ) - 夢主君可愛すぎて墓建てちゃった() (6月26日 12時) (レス) @page11 id: 40711c1c00 (このIDを非表示/違反報告)
空 - 生暖かい目とはこの事か、、、加護欲というか母性が湧き出しました最高です (5月18日 13時) (レス) @page10 id: a5aed66fc3 (このIDを非表示/違反報告)
ロア - 思わずニッコリ (5月10日 21時) (レス) @page1 id: 4dffd0e6b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:トマトマヨトマメトマト | 作成日時:2023年4月15日 3時