本気で恋したジャニヲタ

パーカー4 ページ39

ヒルナンデスの収録前。

私はあさこさんの楽屋に来ていた。

あさこ「大ちゃん、呼んでもいい？」

A「はい。お願いします」

そう言うとあさこさんは
大ちゃんに電話をかけた。

あさこ「もしもし？ちょっと今から私の楽屋これる？うん、わかった、待ってるね。」

電話を切るとあさこさんは
「頑張るんだよ」
そういって楽屋を出ていった。


残された私は手元にある
袋に入れたパーカーをぎゅっと握る。

大ちゃんと話せるのはこれで最後。

このパーカーを渡したら
私はただのファンに戻らなきゃいけない。

テレビや雑誌の中での彼しか知らない
１人のファンに戻るだけ。

ただ、それだけのこと。


『コンコンッ』

大貴「失礼しまーす。あさこさ……」

楽屋にいる私を見て
驚いたように固まる大ちゃん。

大貴「ごめっ、俺、楽屋間違えた！？」

A「あの、私があさこさんに頼んだんです。すいません」

大貴「え、あ、うん」

そう言うとハッとしたように
ドアを閉めてくれる大ちゃん。

やっぱりこの人は優しい人。


袋をもって大ちゃんに近づく。

A「この前は助けてくれてありがとうございました。あの時、お礼もちゃんと言えてなくて…。これ、お返しします。」

大貴「これ……返さなくていいって言ったのに」

A「雑誌でお気に入りって話してたから」

大貴「えっ？あー。そんな話したような……」


しまった、というような顔で
頭に手を置く大ちゃん。

こんなに近くで彼を見ることは
もうないんだろうな。

A「本当にありがとうございました」

大貴「こちらこそわざわざありがとう」


そういって大ちゃんが笑うから

泣きそうになるのを堪えて

私も笑った。

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