16,早足。 ページ18
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Aは走っていた。
その派手な服装はマフィアと思えないほどの無邪気で幼い格好だった。
息を切らして、情報屋との待ち合わせ場所へと向かう。
一切染めていないAの髪の毛は、これでもかと言うほどに乱れていた。
『ついたっ…10分前っ…』
皆の憧れAちゃんは何かに遅れたり、迷惑をかけたりする真似は絶対しない。
走ってきたことを悟られないよう、息を整えるためにその場にしゃがんだ。
ようやく落ち着きを取り戻すと、同時に少し遠くから足音が聞こえた。
「お、遅れましたッ……」
向こうからやって来たのは、見た目には合わない臆病さと纏ったおじさん。
Aは『なんだコイツ』と眉間にシワを寄せて、なるべく距離をとった。
『情報屋さん?』
「あ、はい、で、その、あの…」
『はい書類ちょーだーい!』
「あ、いえ、その、だから…」
オドオドした情報屋はAと目を合わせないばかりか、目自体が游いでいる。
「お名前…を、お伺いしてもいいでしょうか……」
『やだ、書類くれたら考える』
きっぱりと言ったAに、おじさんは明らかに落ち込んで、書類を渡した。
『はいどーもー!』
しかしAは書類を受け取った瞬間、ポートマフィア本部へとスキップまじりで歩き出す。
「ええッ!せめてお名前だけでもっ!」
『嫌だよ。お前なんかに名前教える時間あったらさ、センパイへの嫌がらせできるし』
おじさんは歯を食い縛り、Aをにらむや否や、
「あああああ貴方に一目惚れしてやっと話せたというのにッ!」
Aはめんどくせぇと思ったし、こいつキヂカイか、とも思った。
しかし、おじさんはある意味正気だった。
所持してた拳銃を、Aに向けたのだ。
『………』
Aは相手をバカにするような笑みを浮かべたが、冷や汗が全身から吹き出した。
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芥川様LOVE - 芥川様可愛い好き作者様有難う御座います一生付いていきます (2019年11月16日 14時) (レス) id: 40c6fc2ce8 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわ とまと - 銀色ミカンさん» ありがとうございます!!新作もちまちま更新頑張っているので! (2016年12月1日 23時) (レス) id: ac53bb1069 (このIDを非表示/違反報告)
銀色ミカン - 笑いながら読みました。とまとさんの書く芥川かわいいです! (2016年12月1日 17時) (レス) id: 8b3f2e95f6 (このIDを非表示/違反報告)
なかゞわ とまと - あんこさん» 貴方とは話が合いそうですね((キリッ。ありがとうございます!!私はやつがれ小説製造気なので、また新しい作品作りました!ぜひ読んでみてください! (2016年11月29日 22時) (レス) id: ac53bb1069 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - うわあああああんめっちゃ可愛いですうううううう!!!私やつがれ大好きでほんとこんなやつがれちゃんも愛しい…!やつがれちゃんは神と言えるほどのガチ勢で御座います!← もうほんとうへへへって言いながら見てました可愛い無理…ありがとうございます… (2016年11月27日 6時) (レス) id: dcde93e978 (このIDを非表示/違反報告)
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