【ホラー】正夢【あやかしの鏡】 (ページ2)

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02:ﾂｲﾆページ2

「ハッ！！」

　目を開けた瞬間、跳ね起きる。
　冷や汗を大量にかいた私の体はびっしょり濡れ、先程の夢の光景に、寒気が走る。

(やだ、5月になったばかりなのに)

　現状を確かめるために辺りを見回すと、だだっ広い見覚えのある部屋に安堵する。

(良かった。さっきのはただの夢ね)

　まあ夢にしては妙にリアルだったが。
　
　とりあえず汗を流そうとベッドから降りようとしたとき。

「待て、小娘。私を無視するな」

　小学校低学年並みに高い少女の声に、偉そうな口調という何ともアンバランスな声が室内に響いた。

(……ここは一人部屋。誰かが外から勝手に入ってこないように結界だって張ってあるのに)

　私の家は特殊で、深い森の中にあり、私が認めた人でないと、家どころか森にすら入れなくなっている。
　それなのに、知らない声が聞こえるなんて有り得ない。

　不信感を募らせながら、声のした反対のベッド脇の棚へ体ごと向きを変える。

　そこには、見覚えのない、仮面のような三日月型の笑みを貼り付けた、気味の悪い日本人形がそこにあった。

「やっと気付いたな。私のような者の気配には敏感だと思っていたが……まあ、気が動転していたのだろう。仕方有るまい」

　またあの不釣り合いな声で淡々と告げる。
　別に、人形が喋った事に対しては驚きはしない。まあ、鏡が喋るんだから使い古された人形だって喋るだろう。

　そんなくだらないことを考えていると、人形は耳を疑うような事を淡々と述べる。

「小娘には鬼ごっこをしてもらう。10分以内に捕まらなかったら何もない。もし捕まれば……」

　頭が追いつかずに混乱するが、次の言葉で完全に思考が停止した。

「もし捕まれば、小娘がさっき見た夢は現実になる」

　
　悪夢の始まりだった。