清掃 ページ27
.
水泳部が掃除しろよ。なんで生徒会が掃除してんねん。
「A」
『何シャオ……』
こいつ女子の顔面にホースで水かけやがった。
『……シャオロン』
「何?」
『あっち向いて屈んで』
「?いいよ」
素直なやつでよかった。
私はさっきトントン先輩が内ゲバ用に水を入れてたバケツを持ってきてシャオロンの頭上でひっくり返す。
「は!?冷たっ」
『さっきのお返しだよありがたく思え馬鹿』
「やったなお前!!」
夢中になって水を掛け合う。
途中でゾムやグルッペンなんかも参加してきて皆ビショビショだ。
プールサイドでこんなことしてたら絶対誰かプールに落ちるだろ。さっき水を全部抜いたからほんとに危険だ。(フラグ)
…あ、やばい落ちる。
「っと。危な……ほどほどにしなよ」
『あ、りがとひとらん』
やばいほんとに危なかった。
左手にあったモップをとっさに捨てて両手で受け止めてくれたひとらんはさながら王子様だ。
もしこれがオスマン先輩とかだったら胸を揉むくらいはしてきたと思う。
助けてくれたのがひとらんでよかっ……
「気を付けてね」
『………』
「おい何A抱き締めてんねん離せやひとらん」
「せやぞ」
「水着の男女が密着とかやらしいわー」
よくはないな。
目の前に逞しい体がある時点でもうアウトだ。こんなの王子じゃない。
「サボってるお前らよりマシだと思うんだけど」
『うっ』
「げどちゃんそれAちゃんにも刺さってるよ」
「あ、ごめんそんなつもりはなかった」
やっと熱い抱擁(笑)から解放してもらえた。
「ほらお前ら、仕切り直して真面目にやるゾ」
「グルッペンさっきまで一緒に遊んでたやん」
「なんや階段からしかプールサイドに上がれへんホビット。なんか言ったか?」
「は?コツつかんだら上がれたわ!!俺はこれから伸びんねん!!!」
『うるせ』
まぁやっぱり遊び盛りの高校生が掃除に集中できるわけもなく、再び水遊びを始めてしまった私たちはしっかりトントン先輩に怒られた。
先輩も一緒に遊んだ気がするけど黙っておこう。本人も楽しそうだったし。
掃除を終わらせて職員室に鍵を返しに行った。
遊んでましたと言わんばかりに水に濡れた私たちを見てエーミール先生は一瞬顔をひきつらせたが、まぁ許してくれたようだ。
結局【お疲れ様です】と声をかけてくれたのは優しい(?)(そもそも掃除させたのはこの人だが)先生らしくはあった。
あー。風邪引きそう。
.
148人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:算数にがて作者 | 作成日時:2020年8月15日 12時