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tn side
俺は勇気を出して、ずっと前から思ってることを彼女に話した。
聞いてくれたらそれでいい。独り言だと思って聞いてほしかった。
それ以上を望むつもりはないし、拒否されても仕方ないと思った。
俺だってこんな真面目なキャラでいたかったわけじゃない。俺はほんとに正常で、周りが少々異常だっただけだ。グルさんとかオスマンとか。
中学のときから奴らのせいで自然とこんな立ち位置になっていた。
それをさほど気にしていたわけではない。しかし恋をしたせいで苦しめられるとは思ってなかった。
俺が話している間、彼女はたまに相槌をうちながら静かに聞いていた。
そして話し終えると、少し悩んだような沈黙の後こう言った。
『まぁ、やりたいようにすればいいんじゃないですか？どんな先輩でも嫌いにはなれそうにないんで』
……？これは告白ととっていいのだろうか。
予想以上にドライで、かつ愛を感じるメッセージを受け取ったせいで脳が正常に作動しない。
彼女は自分で言ったのに【私何言ってんだ】と驚いたような顔をして口を押さえた。
『……今の、無しで』
「……んふ、いやや」
なんや、じゃあもうちょい露骨にアピールしてもいいんかな。
早速俺は彼女の華奢な手を自分の手に絡めて自分のコートのポケットにつっこんだ。
『……先輩、ほんとに今の無しで』
「あかん言うとるやろ」
『……じゃあちょっと暑いので手を離してほしいんですけど』
「照れてんくてもええって。俺もこんなんするん初めてやし」
『ちがっ…まだ11月やしこんな密着したら暑いって言ってるんです』
ほんまに暑いのもあるんやろうけど、あえて気付かないヤバイ奴のふりをしてそのまま歩く。
まさに意気消沈という言葉をそのまま表したかのように彼女は下を向いてこっちを見てくれない。
可愛いからいいけど。
空いている手で頭を撫でてやると、一瞬目を見開いてこっちを見た後、また真っ赤になってうつむいてしまった。
身長差が美味しい。
神様ありがとうこの身長を授けてくれて。
……ま、この状況で手を振り払わへんAさんもちょっとは悪いと思うけどな。
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作者名：算数にがて作者 | 作成日時：2020年8月15日 12時
