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まぁでも僕もAちゃんも緊張はさっきより解れてきてるからいいか。
『私映画泥棒怖いから嫌いなんだよね』
「僕が見えへんようにキスしたろか？」
『そっちのほうが怖いから遠慮しとく』
「ちょっとひどない？」
『いつも通りやない？』
「そっか」
『うん』
映画泥棒のシーンが無事終わり、いよいよ本編が始まった。
今回選んだのは恋愛もののやつで、まぁ全てはAちゃんを惚れさせるために組んだプランであって、吊り橋効果的なかんじでいこうと思ってたわけで、今回のデートで少しでも僕のこと意識してくれたらな、なんて思ってたわけで。
……まあ何が言いたいのかと言うと、【こんなに映画で大泣きするはずではなかった】ということだ。
『鬱泣きすぎwww』
「Aちゃんも泣いとるやん…」
『だっていい映画やったんやもんw』
「それなぁああああ」
高校生が二人揃って大泣きしている現場なんて、端から見れば異様だろう。だが、Aちゃんに気遣って【人目多いから一旦あっち行こか】と言える余裕はなかった。
何故なら今僕も大泣きしてるから。
『切なかったなぁ』
「ほんまやで……ｽﾞﾋﾞｯ」
『…とりあえず休もか。私飲み物買ってくるから何飲みたいか教えて』
「え、じゃあお茶で…ありがとう」
『ええよ、そこおってな』
イケメンやん僕の彼女(本日限定)イケメンすぎるやん…。
彼女の姿が見えなくなっても尚、涙は止まらなかった。あれ、こんなに涙脆かったっけな。
「あ、おにいさーん。1人？私たちと遊ぼーよ」
「……え？」
逆ナン？こういうデートの日に？
「彼女さんにフラれたの？可哀想…」
「じゃあ今フリーじゃん。ほら、行こうよー」
失礼やなこいつら。僕がフラれた前提で話を進めないでほしい。
まぁちょっと前の僕なら100%着いてってたけど。
「もう今の僕は違う……って、え？」
「何言ってんの？お兄さん面白いなぁ」
「名前何ていうのー？」
「……あれ、これもしかしなくてもヤバイやつ」
なんで？僕返事してへんやん！僕の彼女はAちゃんやし！((本日限定))
ってかこの女力強すぎるやろ振りほどけへん…
ああもう。
Aちゃんにそこおっててって言われたんに…
どうしよ、これ。
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作者名：算数にがて作者 | 作成日時：2020年8月15日 12時
