青色 ページ11
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時が経つのは早いものだ。
鬱とデート(？)の日程を決め、気付けば当日。
結局私たちは映画を見ることにした。
映画館に11時半集合。時計の針はまだ11時20分を指していた。
『おはよ。早いな』
「彼女待たせるわけにはいかんやろ」
そう。そして今日は恋人設定。
しかも彼がチョイスした映画は恋愛もので、空気が甘くなるのは目に見えていた。
まずいな、相手のペースに呑まれたら普通に落ちるかもしれない。
「ほんじゃあ行こっか。ほら、」
『……？』
「え？」
「あ、ほら、手」
あ、なるほど。そういえば恋人設定だったね。
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ut side
あ、どうも僕ですー。鬱ですー。
『手汗やばいな、ごめん』と言って申し訳なさそうに手を握ってくる彼女。
はあ、可愛い。ほんまに可愛い。
Aちゃんを惚れさせるつもりでデート組んだのに、これやと俺に耐久力が試されるだけやん…！こんなん、いつボロが出るか分からん！！俺絶対なんかやらかすやん……。
「はぁ、ほんま可愛い…じゃなくて、Aちゃん、なんか食べよ？ポップコーンキャラメル派？」
『……いや、普通のが好き』
「そーか。ほんじゃあおっきいの買って二人で食べよ？」
『おっけ』
彼女はイケメンだ。
今回もお金を払おうとしてきたので必死に止めて全額払わさせてもらった。
そういえばシッマも【Aは何かと奢ろうとするで】って言ってたな。彼女に理由を聞いてみたところ、
【お金払ってもらうことが目的みたいになったら嫌やから。それに今回は鬱がプラン組んでくれたんやし、お金ぐらい払わせてや】
と答えられた。
はえー…イケメン……
まあ今日は俺が彼氏なのでバッチリ払っていくつもりやけど。
5番スクリーンに入場して、とりあえず席に座った。なかなか良い場所やな。
座ったのはいいが、なんだろう、気まずい。
Aちゃんが変に緊張しててずっとそっぽ向いてるから、いつもみたいに話しかけにくいのだ。ついでに耳まで真っ赤やし。
いや、俺が言えたことでもないけど。
「……Aちゃん。しりとりしよか」
『……ん？』
「君の瞳に乾杯」
『異世界の果てまで好き』
「君は僕のシンデレラ」
『楽観的なところもあなたの良いところだよね』
「ねぇ、抱いていい？」
『いや、それはちょっと……』
「友達という関係、卒業しない？」
『いや、それもちょっと……』
待ってなんかいつの間にか拒否られてない？
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作者名：算数にがて作者 | 作成日時：2020年8月15日 12時
