2人だけの夏休み 3【S.S】

108.攻め時 ページ8

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「もうこれであきらめよう。」


お昼休み、社食で箸を持った手をぼんやりと見詰めたまま独り言を呟けば、


「何、諦めんの？蕎麦伸びちゃうよ？、うどんにするつもり？」


「二宮さん！」


「はい、もうちょっと詰めてぇ〜。」


混雑したラウンジの窓際にあるカウンターに座る私の隣に腰を下ろした。


「なんかあったの？」


「えっ…。」


箸でハンバーグを器用に小さくしながら、私をチラリと見るとふふっと笑った。


「いつもニコニコしてるAちゃんがそんな顔して蕎麦食ってれば誰だって分かるでしょ？」


「…。」


「あのさ、もうスグなんだよね。例の約束の日…。」


「約束の日？…」


フフッと笑いながら、「一口食べる？」とハンバーグを箸でつまんで見せる。


首を横に振ると「意外と美味いんだよ？ココのハンバーグ。」とそれを自分の口へ入れた。


ガラスの向こうのオフィス街を見つめた動かない私に、


時折「伸びるよ、ほら。食べな？！」とせかしながら、


「言ったよね？俺。」


味噌汁を一口飲んで、今度は忙しくご飯を頬張る。


「好きじゃなくても良いから24日、ご飯行こうって。」


「二宮さん…。」


いつの間にか食べ終えた二宮さんは左手で頰杖を付きながら優しく微笑むから、ドキドキしてるこの場所が社員食堂なんて忘れてしまいそう。


「一緒に過ごしたいの。Aちゃんと」


「あのっ、でも…。」


「そんな顔してるんだから、今絶対俺のターンでしょ？そんな顔させるあの人から引き離すチャンス(笑)落ち込んでるAちゃん笑顔にしたいな、俺。」



「…」


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