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三日月「…………… その通りだ。
あの日、主は傷付いている刀達に進軍させた。
あの時、無線を切った時に聞こえてしまったんだ。
【折れた所で、また顕現すればいい】と。」
そして、前任はボロボロで帰ってきた部隊を見て
大倶利伽羅に向かってこう言った。
【なぜ命令を無視したのか。】
きっと、その瞬間。大倶利伽羅は何も信じられなかっただろう。
それが事の真相。彼が孤立してしまった理由。
尚更僕は、彼を近侍から外すことなんて出来ない。
僕が見放したら、彼は一人孤独になってしまう。
そんな事、絶対に許さない。認めない。
確執はあっても、必ずこの僕の手でそれを取り除いてみせる。
A「ありがとう三日月。腹は決まったよ。」
三日月「そうか、俺は主の意思を尊重しよう。」
ふん、そうしてもらわなければ困る。僕の刀なんだから。
さて、そうと決まれば大倶利伽羅を探すか。
A「取り敢えず、代理で君が案内して。
彼を見つけ次第、部屋に引きずり込む。」
そして、教えてあげなくちゃ。
君には僕がいる、と。
*********
…………… いた。
まさかこんなに暗くてジメジメしてる所にいるなんて。山姥かよ。
A「…………… 近侍の仕事をサボって、こんな所で何いじけているんだ?
………… それとも、怯えているの?この僕に。」
突然の僕の声に、反射的に刀を構えた大倶利伽羅。
そして、僕の姿を認識すると、刀をゆっくりと下ろした。
倶利伽羅「……… なんだ。」
A「簡単な話。
僕は、前任のクズ野郎とは違うという事を言いに来ただけ。
君はが僕を信じるか否かは君が決める事だ。
だがな、僕は決して君を傷つけない。裏切らない。」
倶利伽羅「……… ふん、くだらない。
そんな言葉を信じろと?そんな陳腐な言葉を誰が信じるんだ。
それに、俺は馴れ合うつもりは無い。」
そう言ってその場から逃げようとする大倶利伽羅に、僕はぐっと腕を引く。
A「信じるも否も、馴れ合うかどうかも、全部君が決めていい。
だけど、お前に居場所がないなんて考えるな。」
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作者名:アルビリオン | 作成日時:2017年9月20日 1時