【ツイステ】無力な海の王子様【男主】 (ページ38)

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ジェイド「………… はい。貴方の仰せのままに。」

フィリウス「ハハッ、そんな口調だと召使いだな。

ほれ、もっと良く顔を見せてみろよ。お前の、……………… その苦しそうな顔を。」

俺の言葉に従うように、ジェイドは顔を近づけて来る。

フィリウス「………… そんな顔するな。

俺は、お前にそんな顔をさせるつもりなんてなかったんだけどな。」

ジェイドとフロイドは、二人がどう思ってるかは知らないが、

俺にとっては大切な友人だ。

でも、ジェイドが俺に対して友人では無く、別の関係性を求めていたのは知っていた。

出会った時から、何かとアピールが激しい奴だった。

すぐに口を開けるし、アズールより先に俺を迎えに来るし、たまに攫われるし。

……………… まあ、ウツボの雄って、割と愛情深かったりするんだよなぁ。

その結果ジェイドを苦しめてるなら、どうにかしないとなぁ。

フィリウス「ごめんな。気を使わせてばっかりで。

…… ありがとう。お前の気持ち、嬉しいよ。」

俺はジェイドの頬に唇を当てる。

その瞬間、ジェイドに身体を押し倒される。

ジェイド「………… 貴方は、本当に残酷ですね。

何故、そんな勘違いを起こしそうな事をするのですか？

何故、僕の理性をかき消すような事をするのですか…… っ。」

……………… 嗚呼、もしかしてお前が独り占めしようとしないのって、

こんな空気で、ジェイドがこんなにも辛そうな顔をしているのに、俺は思わず吹き出してしまった。

ジェイド「………… っ、何故ここで笑うんですか。」

フィリウス「馬鹿だなァ、本当に。

俺は雌じゃねぇし、孕んで産んだら死ぬなんてある訳ねぇだろ。まぁだあの時の姿が頭に刷り込まれてるみてぇだな。」

蛸の雌は、一生に一度卵を産み、その後死ぬらしい。

でも、俺は生物学上れっきとした男だし、なんなら今は人間だ。

すると、ジェイドは自分が根本的な勘違いをしていたことに気がつき、俺に釣られて笑い始めた。

良かった。お前が笑顔になって。