【ツイステ】無力な海の王子様【男主】 (ページ24)

今日:4 hit、昨日:5 hit、合計:78,432 hit

73 ページ24

フィリウス「それでっ、父上にこれの事を聞いたらっ、開き直られてっ、おれっ、

気が付いたら、魔力がっ、暴走しちゃって、………… みんな、………… みんなっ俺がっ、！！」

すると、アズールは俺の身体を抱きしめる。

アズール「もういい、フィリウスは悪くない。

………… 誰だって、そんな現実を突きつけられたら、我を失います。」

嗚呼、お前ならそう言うと思ってた。

俺の可愛いアズールなら。絶対に。

フィリウス「おれっ、もうイヤだっ！

こんなっ、………… こんな力があるからっ、周りの人達を傷つけるんだっ、…… ！

おれっ、このちからで、いつかアズールを傷付けるのが、…… 怖いよっ、」

俺はアズールに縋り付き、ゆっくりと頭を麻痺させていく。

さあ、お前の言うべき言葉は何？

分からないなら、俺が最後のヒントをあげよう。

フィリウス「………… ねえ、アズール。

俺と、契約して欲しい。俺から、この魔力を取り上げて…… ？」

すると、アズールは苦しそうに俺を見つめ、静かに頷いた。

アズール「………… 出来るかどうかは分かりませんが、この記憶ごと全て【黄金の契約書】に移してみます。

非常に危険です。ですが、それでも罪を背負って生きていくよりかはマシです。」

………… 嗚呼、パーフェクトだ。

まず、アズールは俺と契約し、俺の魔力全てを【黄金の契約書】に移した。

そして、記憶。

どう転んでも記憶が曖昧になり、不安定になるのは目に見えているが、アズールならどうにかするだろう。

それに、そうする事で、アズールは俺から離れなくなる。

自分が送った手紙がきっかけと云う点で罪悪感を感じ、何が何でも無力な俺を守ろうとする筈だ。

さて、仕上げだよ。俺の可愛いアズール。

俺の記憶を抜き取り、【黄金の契約書】に移そうとした瞬間、まるで魔法が解けたかのように、俺のヒレは本来の姿に戻る。

フィリウス「ぁ、………… あはは。

黙ってて、ごめんね。俺ね。本当は蛸だったみたいなんだ。

だからかなぁ…… アズールが、他人な気がしなかったの。」

そう言って、涙を流しながら微笑んだ。