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フィリウス「……………… っ、ぷふ、
なぁんてなァ〜。」
人を殺しそうな剣幕から一転、俺は飄々と舌を出す。
フィリウス「馬鹿かよてめぇ。気づいてねぇとでも思ってたァ??
あめェんだよ愚図が。俺が、この【俺】が、気が付かないわけねぇだろ。
とっくの昔に気づいてたよォ。俺とテメェに血縁関係がねぇこともテメェが俺を稚魚ん時に攫ったことも俺を薬漬けにしてたこともぜェんぶ、な?」
そう、幼かったあの日。
学校で虐められていた、【あの子】見掛けるまでは。
*******
〜 約十年前、珊瑚の海〜
人魚の子供「やぁい!!アズールズルズル墨吐き坊主〜」
幼少アズール「………… っ、や、やめてよォ。」
俺はその日、いつもの気まぐれで屋敷から抜け出していた。
その時、とある稚魚に出会った。
まるまる太った、可愛らしいからだ。
他の人魚と違い、吸盤のたくさん着いた八本の足。
引っ込み思案で、ハッキリものを言えない。
その姿に、俺は胸の中で違和感を感じた。
そして、本能的に気が付いてしまった。
嗚呼、あれは俺の【兄弟】だ、………… ってな。
だけど、野性的な本能だけでは確証に至らない。
理性的で、且つ物理的な事実を揃えなければ。
そこで、まず俺は今まで家族だと思っていた奴らを疑った。
飯を注意深く見てみると、明らかに人工的に作られた【何か】が入っていた。
数日間、それを取り除いて食事をすると、俺の尾びれは、あの子と同じような八本の足になった。
成程、変身を解かせないための薬だったとは。随分と計画的に俺を騙していく魂胆だったようだな。
でも、残念。俺、天才だからもうわかっちゃったよ。
お前らがどれだけ私利私欲に塗れた汚ぇ野郎だってことはな。
でもまぁ、メインディッシュ最期まで取っておくよ。
お前らの始末は、また後で、な?
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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年6月7日 12時