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フィリウス「ご、ごめんなさい。すぐに退きます。」
すると、その人は私の首元に顔を近付けた。
そして、そのままなにか柔らかいものが当たる。
レオナ「………… ハッ、猫みたいなことしちまったな。」
フィリウス「………… え、えっと？」
レオナ「…… 唾付けた。」
フィリウス「ぇ、汚い。」
レオナ「そのまま受けとんじゃねえよ。アホかお前。」
そのままって、じゃあほかにどうやって受け取るのでしょう？
すると、その人は私の腕を離し、大きな欠伸をしながら横になる。
レオナ「………… さっさと行けよ。俺は寝る。」
引き止めたのそっちなのに。変な人だなぁ。
そう思いながら、私は植物園を後にした。
*******
部屋に戻ると、マレウスさんとリリアさんがなにやら話しているようだった。
リリア「おお、フィリウスか。いやはや、同郷の者達があのような事をして、お主も思うところはあるじゃろうに。
ほれ、わしが甘やかしてやろう。」
そう言いながら手招きをする。
何となく招かれるまま傍へ寄ると、リリアさんではなくマレウスさんに腕を引かれ、そのまますっぽりと腕の中に収まってしまった。
リリア「…… やれやれ、マレウスめ。随分と気に入っておるようじゃな。」
マレウス「…… フィル、今日もまた、悩みの種が増えてしまったのかい？」
………… 悩みの、種。
フィリウス「…… 皆、私に嘘をつくんです。
マレウスさんも、私に嘘をつきますか？」
なんとなくそう訪ねてみると、マレウスさんは優しく頭を撫でながら、首を横に振った。
マレウス「僕はそんな事をしないよ。
そんな事をしなくても、君を護れる自信があるからね。」
……………… ？
どういう事だろう。
嘘をつかなくても、私を護れる？
すると、忌々しいことに、また頭にノイズが走る。
そこには、………… 見知った顔があった。
そして、その人は私に、【黄金の契約書】を渡し、サインを要求している。
……………… そ、んな。
私、アズールと契約していたの？
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作者名：アルビリオン | 作成日時：2020年6月7日 12時
