伍 ページ6
日輪の耳飾りを附けた男は一瞬迷ったが、小瓶の中身を一気に飲み干した。
熾勇「よしよし、良い子じゃないか。あとは眠れば【元通り】だよ。
少しの間、この部屋で横になっていてくださいね。
………… あ、そうだ。名前を聞いていなかったね。最も興味は無いけれど、書類を作らなければいけないんだ。
君の名は?」
炭治郎「竈門炭治郎、だ。」
…………………… なんだって?
かまど、……………… たんじろう、?
熾勇「………… 成程。君が兄様の弟弟子か。
ふぅん。君が噂の竈門様、ね。」
兄様は、よくこの男のことを気にかけている様子だった。
……………… 僕と言う本物の弟が居ながら、弟弟子の話ばかり。
まあいい。どうせもう関わらないだろう。
熾勇「では、胡蝶様に報告をしてくるよ。
お大事に、ね。」
そう言いながら、僕は部屋を後にした。
必要な情報を纏めた書類を、胡蝶様に渡す。
しのぶ「あらあら、また骨を折っていたのね。
炭治郎君は本当に無茶ばかりするんだから。」
そう言いつつも、少し微笑んでいる胡蝶様。
熾勇「………… 胡蝶様は、あの娘が【鬼】だという事をご承知なんですよね?」
すると、僕の顔を見て少し目を見開いた。
しのぶ「…… どうして禰豆子さんが鬼だと分かったのですか?」
熾勇「あんな人間からかけ離れた気配に気が付かないわけが無い。
紛れも無い鬼です。それを知っていて、見過ごしているのですか?」
そう聞くと、胡蝶様は静かに話し始めた。
竈門様の御家族は、鬼に殺された。
そして、たまたま禰豆子様が鬼化した。
そして、それを殺そうとしたのが兄様だったらしい。
だけど、禰豆子様が普通の鬼とは違う行動を示したために、見逃した。
禰豆子様を人間に戻す方法を探しながら、鬼殺隊へ入隊し、仇である鬼を探している、と。
成程。道理で兄様が気にかけるわけだ。
自分が見逃した鬼が、何か粗相を起こさないか心配なんだろう。
……………… でも、きっと彼女は大丈夫。
今の所は、【僕の支配下】にあるのだから。
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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年4月17日 10時