弐拾肆 ページ25
義勇side
炭治郎に言われるがままに蝶屋敷へと向かうと、そこには目を疑う光景があった。
首の辺に血が滲んだ包帯を巻き、青白い顔をして、まるで死んだように眠る熾勇の姿だった。
義勇「…………………… っ、…… ぁ、」
そんな、………… っ、…… 熾勇…… っ!
炭治郎「………… 街の外れで、倒れていました。
その時にはもう気を失っていて、息もか細くて……」
炭治郎の説明でさえ耳に入らない。
どうしたら、………… 熾勇は、………… 死ぬのか?
炭治郎「………… それと、熾勇の身体から、鬼の匂いが、」
義勇「……………… 【鬼】、…… だと?」
その瞬間、俺の総てがドス黒く染まっていくのが分かった。
………… 赦さない。
姉さんを奪っただけでは飽き足らず、今度は、俺から【兄上】も奪うのか……
義勇「………… 炭治郎、熾勇を頼む。」
そう言って俺は、熾勇を傷付けた鬼を探そうと出て行こうとする。
すると、炭治郎に腕を掴まれる。
炭治郎「何を言ってるんですか!
義勇さんは熾勇のそばに居てあげないと…… 」
義勇「…… 熾勇をに手を出した鬼を探す。
この手で頚を切り落とすまでこの怒りは収まらない。
悪いが止めるな。」
そう言って俺は炭治郎の手を振り解き、日輪刀を手に外へと出た。
…………
俺は、炭治郎と違って鼻が利く訳じゃない。
だから、正直熾勇を傷付けた鬼を見つけることなんて不可能に近い。
だが、それでも、この気持ちを抑えられない。
この、今まで抱いたことの無い真っ黒な感情を、どうしたらいいんだ?
兎に角、俺はこの行き場の無い感情を鎮めるべく、夜の闇へと消えていった。
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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年4月17日 10時