参拾弐 ページ33
…………………… この匂い、義勇の血か?
すると、居間の方から大きな物音がした。
まさかと思いながら、居間へ足を運ぶと、そこには身体のあちこちに怪我を負った義勇が倒れていた。
……………… 全く、世話の焼ける……
俺が治してやってもいいが、こいつはしばらく頭を冷やした方がいい。
俺は、居間に倒れ込んで、意識が朦朧としている義勇の身体を横抱きにする。
義焔「……………… この愚弟が。
蝶屋敷まで運んでやる。…………死ぬなよ。」
義勇の耳に届くか届かないかのギリギリの大きさで呟きながら、俺は蝶屋敷へと向かった。
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この状況なら俺が蝶屋敷に足を運んでも問題は無いし、義勇も治療を受けられるはずだ。
にしても、義勇は軽いな。ちゃんと食ってんのか?
………… まあ、食っていないわけは無いな。熾勇は俺の料理の腕を受け継いでいるはずだし。
………… って事は、単に俺が【鬼】だから、腕力有るだけか。
勝手に中に入る訳には行かないな…… 呼ぶか。
義焔「……………… 禰豆子、ちょいと此方に来てくれねぇか?
胡蝶しのぶの腕を引いて、な?」
そう呟くと、禰豆子が胡蝶しのぶの腕を引いてこちらに走って来た。
義焔「良い子だ。後でご褒美をやるからな。
胡蝶しのぶ、済まないが俺の愚弟を治療してやってくれねぇか?
何をしてたかは知らねぇが、帰ってくるなりぶっ倒れちまってな。
部屋まで運ぶ。案内してくれ。」
胡蝶しのぶは、俺がボロボロの義勇を横抱きにしているのを見て青ざめながら治療部屋へと案内した。
取り敢えず寝かせておき、あとは胡蝶しのぶに任せることにした。
俺はその場から離れ、禰豆子の匂いを辿る。
だが、俺は直ぐに誰かに腕を引かれた。
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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年4月17日 10時