弐拾 ページ21
……………… そうだった。
童磨も、無惨と一緒だった。
僕は童磨に首を晒す。
熾勇「……………… いいか、良く聞け。
主導権は僕にある。お前が僕に従わないなら、僕はこの場から離れる。
好きなだけ、ここを食べていいから、そんな【人間】みたいな惨めったらしい声を出すな。
理解したら、さっさと食べろ。」
そう言いながら、僕は童磨の首に腕を回し、蛇のように唆す。
すると、従わないならこの場から離れる、という言葉が嫌だったのか、恐る恐る童磨は僕の首に噛み付いた。
最初は浅く噛みつき、まるで甘噛みするかのように躊躇っていたけれど
よほど腹が減っていたのか、深く噛み付き、僕の肉を抉り取るように噛みちぎった。
その瞬間、首に走る激痛に、さすがに声を漏らしてしまった。
すると、童磨は申し訳なさそうに抉った後の傷口を舐める。
熾勇「………… 傷口を舐める馬鹿があるか。
余計な事をするな。こんな傷、…… すぐ治る。」
僕は、懐から小瓶を取り出す。
【あの人】の血が入った、大切な小瓶。
それを飲んで、傷を治そうと思った。
だけど、【イイコト】を思い付いた。
………… この傷、兄様が見たら、どんな顔をするのかな?
熾勇「童磨、急用を思い出した。
大した時間を過ごせなかったことは謝罪する。
今度は、兄様が長期遠征の時にでも埋め合わせをするよ。」
そう言って、童磨の頭をわしゃわしゃと撫でてやる。
すると、童磨は凄く寂しそうな顔をしていたけれど、何かを諦めたかのように、いつもの飄々とした態度になった。
童磨「………… もう夜も遅いから、【鬼】には気を付けてね。」
そう言いながら手を振ってくれた童磨に微笑みを返しながら、僕は兄様の元へと歩き出した。
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作者名:アルビリオン | 作成日時:2020年4月17日 10時