参拾肆ノ話 ページ41
・お館様が、普通に話すのが好きなんだ。
産「A……私が言いたい事が分かるかい…?」
『申し訳ないが、分かりませんお館様』
産「本当に?」
『分かんないってば』
私が耀哉様に正しい言葉を使うことなんて、他の隊士が居る時くらい。
耀哉様は私を見つけ、育ててくれた人。小さい頃から一緒に居たから。敬語なんて今更でしょ。
産「じゃあ、はっきり言うけど…怒ってるからね」
『何で』
産「自分を犠牲にして、上弦と戦うなんて。私への悪戯かい?」
『耀哉様を護るためには、義勇さんと無一郎が必要なの』
産「子供達は皆…必要さ……Aは一番にね」
何突っ込んでも、正論で返されるから無理だわ意味ねぇわこれ。
どうせ、この後も。
行冥さんに南無阿弥陀仏言われて、実弥にキレられて、小芭内さんにねちねち言われて、蜜璃になんかきゅんきゅんされて、しのぶには普通にくびられて。
義勇さんと無一郎には、絶対冷たくされる。あーあー。
産「怒ってるから」
『ごめん』
産「二度としないって約束できる?」
『それはちょっと嫌だ』
産「……はぁ…」
耀哉様の事が大好きだからこそ、この人が私を守ろうとする事には大きく反発してしまう。
耀哉様を守る為、御志に助力する為。
『私の身勝手を許してよ』
産「それは出来ないね…」
許して貰えないことなんて、分かっていたが。
それでもやはり、頑固な私は揺るがない。
『守る為に死ねって、言われてんの』
産「知ってるよ?」
『じゃあなんで許してくれないの』
産「私が嫌だからさ」
『それは当主として?』
産「さぁ、何方だと思う?」
無駄な会話が長々と続く。
どうして?、どうしてだと思う?
そんな内容を。言葉を変えて投げ続け、受け止め続けている。
『ほんと頑固』
産「Aがね」
こうなったらもう折れてくれない事は知っている。
でも、私だって折れたくない。
耀哉様にここまで反抗したのは久し振りで、何故か頬がにやけてしまう。
え、何私。楽しんでんの?ヤバいやつになってるよね。
産「A」
『…ん?』
布団から半身で起き上がり、私に向かって穏やかな笑みを浮かべたまま両手を広げている、耀哉様。
嫌な予感がする。
産「おいで」
『いやだ』
今更抱きつきにいくなんて、ねぇ?恥ずかしいわ馬鹿野郎。
首を振って嫌がる私に、手招きを辞めないこの人。
『しょうがないなぁー』
耀哉様の元へ駆け寄り、その腕の中に飛び込む。
“暖かいね”なんて、笑うこの人を支えられるのは私だけじゃない。
私だけじゃ…無いんだ…………
751人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
冨岡義勇が大好きな人 - すみません。冨岡さんルートの先のストーリーがURLでの移動ができません。これはどうしたらいいのか教えてください。 (2020年3月5日 0時) (レス) id: eedc890ee9 (このIDを非表示/違反報告)
エメラルド・アリス - ぐぁんばれぇぇぇ((おい敬語だろ すいませんでした (2020年2月16日 13時) (レス) id: 8a3a604a3a (このIDを非表示/違反報告)
かりんとうまんじゅう - いつも楽しみに読ませていただいてます!これからも頑張って下さいね! (2020年1月7日 22時) (レス) id: 5b8fccba8f (このIDを非表示/違反報告)
むい。(プロフ) - ムニエルさん» あ、はい。よくやるんですよね全く。ありがとうございます (2020年1月3日 9時) (レス) id: 830124773a (このIDを非表示/違反報告)
ムニエル - す、すいません義勇さんの冨が誤字ってます (2020年1月3日 4時) (レス) id: 12d65f590d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:24suganoya | 作成日時:2019年8月4日 23時