参拾弍ノ話 ページ38
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『どちら様?』
?「解っているだろう…上弦の参。猗窩座だ」
嗚呼。解ってはいたが。
矢張り、“上弦”。しかも。“参”という言葉には身が竦む。
また、そんな自分が恨めしい。
持つ刀が震えている。
ここで、武者震いだなんて言えたら良かったのだろうけど。
生憎、この震えは恐怖と憎悪から来るものらしい。
無一郎も、義勇さんも。闘う気に満ち溢れているが。闘わせる訳にはいかない。
魘夢戦で、過去を思い出すという、酷い精神消耗があった二人を。今闘わせることは絶対に出来ない。
例え、私が一人で闘い死ぬとしても。
二人はお館様の元に返さなければならない。
既に隠には連絡を取ってある。そろそろ来るだろうから、猗窩座からスキを作らないと。
『ねぇ、二人とも。
これで最後になるかもしれない雨柱命です。従ってくれないのは困るなぁ……。
“今すぐ此処から逃げなさい”』
時「何っ、言って……」
冨「……隠は、呼んであるのか」
『うん』
時「もう決めたことなの?」
『うん』
冨「一人でも…闘えるのか」
『うん』
時「絶対、負けないって言える?」
『うん』
だから……逃げて。
無一郎は、柱の誰よりも剣の才があり、優秀で。後々柱の中心となるだろう。
義勇さんは、どんな時でも冷静に考えて、それを必ず実行出来る力がある。
お館様には、鬼殺隊には。二人が必要なんだ。
猗「二人を逃がすつもりでいるのか…無事に逃げ切れると思うなよ」
『簡単に、とは思ってねぇーよ。スキぐらい、作ってやれる』
二人が後方に掛け出すと同時に、私は猗窩座に切り掛る。
避けたと思ったのだろうが、避けたのは一回目に振りかざした残像であり。
二回目に振りかざした刀が、猗窩座の右腕を落とす。
猗「殺りごたえが有りそうだな」
『それはこっちのセリフだわ…』
今まで闘って来た中で、私の肩から落ちた事の少ない羽織は、私の肩に無い。
隊服も、右腕部分が割かれ腕が肌蹴ている。
闘気に満ち溢れた身体、素早い技。
何よりやばそうなのは…
猗「術式展開」
さっき、この台詞が発せられ。猗窩座の足元に羅針盤のような物が浮かんでから。尽く技が当たらない。
完全な奇襲。
私でさえ何処へ飛ぶか分からない斬撃。
これでさえ避けられる。
猗「良い殺気に─気だ……矢張りお前は鬼になれ。今なら上弦の弍でも殺して奪ってしまえばいい」
一定間隔を持って繰り広げられる闘い。
『お断り』
二人は無事帰れただろうか。
この闘いは長く続く気がするから。
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冨岡義勇が大好きな人 - すみません。冨岡さんルートの先のストーリーがURLでの移動ができません。これはどうしたらいいのか教えてください。 (2020年3月5日 0時) (レス) id: eedc890ee9 (このIDを非表示/違反報告)
エメラルド・アリス - ぐぁんばれぇぇぇ((おい敬語だろ すいませんでした (2020年2月16日 13時) (レス) id: 8a3a604a3a (このIDを非表示/違反報告)
かりんとうまんじゅう - いつも楽しみに読ませていただいてます!これからも頑張って下さいね! (2020年1月7日 22時) (レス) id: 5b8fccba8f (このIDを非表示/違反報告)
むい。(プロフ) - ムニエルさん» あ、はい。よくやるんですよね全く。ありがとうございます (2020年1月3日 9時) (レス) id: 830124773a (このIDを非表示/違反報告)
ムニエル - す、すいません義勇さんの冨が誤字ってます (2020年1月3日 4時) (レス) id: 12d65f590d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:24suganoya | 作成日時:2019年8月4日 23時