ファンミ帰りだったのに2

57:パレス ページ9

一瞬目を丸くするが、すぐにいつものキリッとした顔に戻った。


カミュ「…面白い。顔を上げろ、女」

セシル「Aっ！？何をしてるんですか！？？」


スータが悲鳴に近い声をあげている。
そりゃいきなり跪けば驚くか。


カミュ「…吉野、と言ったな」

A「はい」


うわわわぁ名前呼ばれちゃった
私吉野で良かった！！

あくまでも真面目な表情でカミュパイセンを見上げる。
ローアングルでも顔がいい。


カミュ「この俺に忠誠を誓うというのか？」

A「あ、それは誓いません」


私は何のためらいもなくスッと立ち上がった。
一気にカミュパイセンの顔が歪む。


A「私はもう忠誠を誓ってる方がいるので。その人の為なら命でも将来でも財布でもATMでも捧げられます。もう将来はとっくに捧げましたけど」


私は8年前に七海春歌に忠誠を誓ったのでもう間に合ってます。

横で笑うのを堪えてるスータに容赦ないチョップが飛んでいった。

「何するんですか！」と目に涙を溜めながら猛抗議する王子と「うるさい」と冷たく返す伯爵と何もすることが無くなった凡人。

完全に私空気だし、挨拶は一応済んだのでお暇することにした。


A「お邪魔しましたー……」


ドアを閉めて、私は忠誠を誓った相手が待つ部屋に戻った。

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