可愛くない彼女の話2 (ページ25)

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「Aの事は絶対渡せない。悪いけど、他当たって。」

『登坂、何言って...』

いいから、
ってAの手を握ってまた校舎に戻った。

隆二が後からそいつの事追い返してくれたらしいけど、それには感謝。
もう絶対蹴り入れるのやめよ。

『登坂、ちょっと！』

Aが俺の名前を呼んでハッとして。

「A、俺お前の事ずっと前から好きなんだよ。」

『...なんで？急にそんな...』

Aの右手は離せなくて、
ギュッと握ると握り返してくれて、
Aの顔が赤くて、
左手で恥ずかしそうにサラサラの前髪を通してたのを見るしかなかった。

そんな仕草、見たことなかったのに。

たまんなくて。
また抱きしめた。

「急じゃねーよ。俺は一年の時からずっと、Aの事だけ見てきたから。」

『...嘘...マジで？』

「マジで。本気。」

抱きしめた腕の中のAの顔は見えなくても、
心臓がドキドキ言ってるのも、
抱きしめ返してくれた腕の強さも、
首に回った華奢な腕も、
精一杯背伸びしてくれるAも、

『...私も、一年の時から登坂が好きだったよ。』

そんなこと耳元で言われたら、
俺、どんな顔してんだろ。

この三年間、ずっとAだけを思い続けてほんとに良かった。

「A...それマジで？」

『マジで。』

ふふっと笑って、ギュッと抱きついて、
チュッとリップ音を立てて、頬にキスをくれた。

Aのサラサラの髪に指を通すことが出来て、
触れることができて、

「やばい、泣きそうだわ。」

後ろで隆二が、臣良かったじゃんって笑ってた。

いつからいたんだよ(笑)
隆二にピースサインを送ったら、ガッツポーズ決めてた。
ありがとな、隆二。

『A、マジで好き。本当に好き。』

お願いだから、俺のためにだけ笑ってて。
他のやつなんて見ないで。

ずっと隣にいて。

これが俺の本気の初恋。

end.