10年目ひよっこおはなし屋

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〜 大事な人の幸せを願ったはずなのに、いつまでも捨てきれない想いを抱く自分のことが大嫌いでした 〜







「……ここまで来るとか、本当馬鹿かよ」









スマホで検索した乗り換えルート通りに地下鉄に乗る。目的地まで、17分らしい。






……半年前の、少し懐かしい話をしようか。







俺の初恋の相手は、ある日本のアイドルだった。



想いに気付いたのは彼女が芸能界を卒業する直前。



親友が……ホシが彼女を好きになったのは、その3年前。
時間のせいにするつもりはない。例え俺がホシより先に彼女を好きになっていたとしても結果は変わらなかったに違いない。



彼女の卒業式の次の日、ホシと彼女は3年越しの想いが通じた。






俺は、彼女へ曲を贈った。
せっかく大事な人と大事な人が幸せになる機会だ。その場を�惜き乱すことは絶対にしたくなかった。これは本心だ。



本心だけど、そのさらに先にある本心では「俺の想いを受け取って」という願いがあったんだと半年経った今だから思う。





だから、俺が思う俺なりの彼女のアイドル人生についての曲を贈った。

その名前は「dedicate〜捧げる〜」。アイドル活動に自分の青春を全て捧げた彼女に、俺の想いを添えて贈った。

匿名で送ったものの、ホシには一発でバレた。そこでまあ和解はしたし、彼女も俺とは知らずにこの曲を今でも大切にしてくれている。









はたから見たら、俺の叶わなかった恋は綺麗に見えるのだろうか。






現実はそんなでもない。
気付けばその曲、「dedicate」を聴いてしまっているし、俺の音楽機器の再生履歴は彼女のソロ曲が未だに大部分を占めている。



有難い事に俺は沢山の人から元気を貰っている。CARATとは良い名前を付けたと自画自賛できる。それくらい俺の周りにいるファンは、温かい。




俺はそろそろ次の段階に進まないといけない。









CARATのためにも、あいつら2人のためにも、俺のためにも。







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