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そして季節は何度も何度も巡った。
女性の平均初婚年齢とは約29歳らしい。
そんな年齢への階段を進み始めた20代半ば。私はしがないOLで、ウォヌは小さい頃からの夢であった科学者で毎日研究に明け暮れていた。
もうそろそろ付き合って10年になるだろうか。周りの友達は左手の薬指に指輪をはめて幸せそうに微笑んでいる。
Aもあのイケメンの彼氏と同棲しているからいいじゃん、そう独り身の友達はここ数年ずっと言われている。
今の私は、初雪の季節になると怯えるようになってきた。
お付き合いは順調であった。
特に喧嘩も何もなく、平坦な道を2人で歩み続けていた。
しかし、そろそろ彼にも意志が出始めたのかもしれない。
ここ数年、初雪の季節になると決まってウォヌは家に帰らなくなる。帰ってきたとしても着替えを取りに帰ってきて、ついでにシャワーを浴びて再び研究所へ戻るだけ。
『おかえり、夕飯は？』
「いらない、しばらくまた向こうで寝泊まりする」
『そっか、気を付けて』
こんなやりとりが毎年続いていた。
そう言えば、ウォヌは温かい食べ物を食べられているのだろうか。
そう思い去年の初雪の日に研究所へこっそり行った。
……そこには身を寄せ合って1つのトレーを見つめているウォヌと、ウォヌと同じ白衣を羽織った綺麗な女の人が居た。
その時のウォヌの生き生きとした顔が今でも忘れられない。
今までは私の絶対王政で成り立っていた私とウォヌの恋人関係。
もう、彼を解放してあげないと駄目なのか。
そう思ってはいるものの、いざウォヌを目の前にすると離れることが嫌で。結局ずるずると1年経ち、再び初雪季節を迎えてしまった。
あの女の人はただの同僚に決まっている、そんなことを自分自身に言い聞かせて。
そんな今日は初雪予報の日。
せっかくの休日をいつもは家で過ごすのだけれど、「今日は昼から夕方にかけて今年初の雪が降るでしょう」という朝のお天気お姉さんの一言で今日は外に出掛けようと決めた。もう、初雪の時に家に帰ってこないウォヌを2人で過ごした部屋で待ちたくない。
外出用の少し高めのファンデーションを塗って街へ出る。特に何かが欲しいわけではなかったのでどんな綺麗なアクセサリーを見ても心は踊らなかった。
そしてぶらぶらと適当に歩いていたら空はすっかり茜色に染まっていた。
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なの - バーノンちゃんのお話、ほんとに読んでてびっくりしました。この夢主、わたしと全く同じです。すごい。リアルです！ (2022年2月9日 1時) (
レス) @page24 id: bda0f2330f (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 占ツクの中で一番好きなお話達です。感動しました。 (2021年9月28日 7時) (レス) @page42 id: 76193ae0c0 (このIDを非表示/違反報告)
ににに(プロフ) - 人生の中で一番今日きゅんきゅんしました。なんか恋愛ってこういうもんなんだーって思わされました笑sumiさんの小説大好きです。 (2019年8月31日 5時) (レス) id: 7eaeb151a5 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ - 凄いですね！短編集でこんなに胸がときめいたのは、初めてです！！違う話も楽しんで読みますね( *´艸｀) (2019年2月22日 18時) (レス) id: 3acae59cc9 (このIDを非表示/違反報告)
sumi(プロフ) - すずさん» こんばんは、コメントありがとうございます！悲観的恋愛論を覚えてくださっていた事に心から感謝致します…ありがとうございます。近いうちに悲観的恋愛論を出させていただきます。本当にありがとうございます。 (2018年6月25日 23時) (レス) id: b03fdb00c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sumi
| 作成日時：2018年3月12日 14時
