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『いやいや、何を出すの』
喉がキュッと締まって震えた声しか出すことができない。急いで立ち上がり、テレビの下の棚にDVDを仕舞いに行く。
だけど立ち上がった瞬間、右手首を掴まれてグッと下へ引き寄せられる。
ぼすん、とさっきよりも深く沈んだのに「沈んだ」というからかいの言葉は一切聞こえない。ましてや、今の衝撃でDVDを落としてしまったのにハンソルの目線はソファに座り込んでしまった私しか見ていない。
いつの間にか正座だった彼は胡坐をかいていた。男の人の力を有する彼に引っ張られた私はそのまま片足はソファの上に、もう片方の足はソファから投げ出されて自然と彼と向き合うような形になっていた。
『ハンソル、なに、どうしたの』
「何を出すのって、Aが今聞いたじゃん」
『そうだけど、別に、』
「Aを好きな気持ち、出してもいいの？」
私の手首にあった手はいつの間にか両手になっていて、彼の大きな手が私の片手を全て包み込んだ。
シーンとした気まずい空気。
そして感じる視線。
だめだ、見たら。
彼の目を見てしまったらまた繰り返してしまう。
本当に大切な友達を、また失ってしまう。
「A、こっち見て」
両頬に手を添えられて上を向かされる。
そこには、私をじっと見つめる2つの熱のこもった瞳があった。
………だめだ。
キモチワルイ。
やっぱりだめだったんだ。
ハンソルであっても、こんなに素敵な人であっても私のこの現象を解決する術はないのだ。
『ごめん、ハンソルちょっとやめて』
彼の目から床に視線をずらし、頬にある手を引き剥がそうとする。
ごめんなさい、私には恋愛は向いてない。
「やだ」
ハンソルは頬から手を離すのではなく、寧ろ力を入れて更に顔を近づけてくる。
「よく見てよ。目、逸らさないでよ」
『嫌だ、やめてよ』
振り払おうと手を握っても、首を振っても、びくともしない。
その代わりにどんどんとハンソルの顔が近づいてくる。鼻と鼻の距離はもはや数センチだ。
『お願いやめてハンソル、私だめなの。男の人の目、見れないの』
「違う、違うよA、ちゃんと俺の目、見て」
彼のブラウンが混じった透き通った瞳と再び視線が合う。
吸い込まれそうに感覚に陥ると同時に、あるものが見えた。
そこには、熱を含んで、どこか潤んでいる瞳をしている、
わたし。
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なの - バーノンちゃんのお話、ほんとに読んでてびっくりしました。この夢主、わたしと全く同じです。すごい。リアルです！ (2022年2月9日 1時) (
レス) @page24 id: bda0f2330f (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 占ツクの中で一番好きなお話達です。感動しました。 (2021年9月28日 7時) (レス) @page42 id: 76193ae0c0 (このIDを非表示/違反報告)
ににに(プロフ) - 人生の中で一番今日きゅんきゅんしました。なんか恋愛ってこういうもんなんだーって思わされました笑sumiさんの小説大好きです。 (2019年8月31日 5時) (レス) id: 7eaeb151a5 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ - 凄いですね！短編集でこんなに胸がときめいたのは、初めてです！！違う話も楽しんで読みますね( *´艸｀) (2019年2月22日 18時) (レス) id: 3acae59cc9 (このIDを非表示/違反報告)
sumi(プロフ) - すずさん» こんばんは、コメントありがとうございます！悲観的恋愛論を覚えてくださっていた事に心から感謝致します…ありがとうございます。近いうちに悲観的恋愛論を出させていただきます。本当にありがとうございます。 (2018年6月25日 23時) (レス) id: b03fdb00c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：sumi
| 作成日時：2018年3月12日 14時
