3 ページ12
次の日、ジフンくんの様子が少し違った。
どこかソワソワしているようで、チラチラと自分のケータイを見ている。
何かあったのかな？
……まあ、話しかけになんか行けないんだけど。
ジフンくんと同じ空間に居たことはある。
でも話すのはスニョンで、スニョンを通じて3人の会話が成り立っていた。
その時も一切ジフンくんの顔は見れなかった。
私が話している時に視線は感じたんだけど、見たいような、見たくないような感情が交じり合って結局見たくないという思いが勝った。
なのでずっとスニョンの方を見て話していた。
時々スニョンが「Aも言うようになったな〜！」と頭を乱暴に撫で回して来たけどジフンくんの前でせっかく整えた前髪を崩されるのが嫌で仕方なかった。
そんな私が、ジフンくんに自ら話しかけるなんてレベル1の状態でオルゴ・デミーラに挑むくらい無茶な話だ。(オルゴ・デミーラを知らない人は是非調べてほしい。どう考えたって無理ゲーだ。)
今日の夜にメールで聞いてみよう。
あわよくば、相談に乗って少しでもジフンくんの不安が軽減すればいいな。
そんな呑気な事を考えていたんだ、私は。
自分が全ての元凶であることなんかまったく知らずに。
「A！これから暇？」
HRが終了し、帰り支度をしているとスニョンに声を掛けられた。
あれ、いつもはジフンくんと一緒に帰るのに。
教室を見渡してみるけれど、ジフンくんはどこにもいなかった。
『え？ああ、うん。特に用事は』
そう答えると少し強張った顔になったスニョン。
「じゃ！じゃあさ！これからアイス食べに行かない？」
『え、アイス？こんな寒いのに？』
「うん！アイス！俺奢るから！いこ！」
『うわっちょっと待ってよスニョン！』
スニョンはショルダーバッグを肩に下げると私の手を掴んでそのまま教室を出た。
クラスの皆には「お幸せに〜」とからかわれてあまりいい気分はしなかった。
私とスニョンはそんなんじゃないのに。
スニョンは鼻歌を歌いながら下駄箱から泥だらけのスニーカーを取り出す。
『ちょっとスニョン、スニーカーちゃんと洗いなよ』
「えー？別に良いじゃん。履き心地が変わるわけでもないのに」
『せっかく可愛いスニーカーなのに……勿体無い』
「男は黙ってスニーカー履いとけだ！よし、行くぞ！」
『いや意味わかんないし……』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 350人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
なの - バーノンちゃんのお話、ほんとに読んでてびっくりしました。この夢主、わたしと全く同じです。すごい。リアルです！ (2022年2月9日 1時) (
レス) @page24 id: bda0f2330f (このIDを非表示/違反報告)
葉月(プロフ) - 占ツクの中で一番好きなお話達です。感動しました。 (2021年9月28日 7時) (レス) @page42 id: 76193ae0c0 (このIDを非表示/違反報告)
ににに(プロフ) - 人生の中で一番今日きゅんきゅんしました。なんか恋愛ってこういうもんなんだーって思わされました笑sumiさんの小説大好きです。 (2019年8月31日 5時) (レス) id: 7eaeb151a5 (このIDを非表示/違反報告)
むぎちゃ - 凄いですね！短編集でこんなに胸がときめいたのは、初めてです！！違う話も楽しんで読みますね( *´艸｀) (2019年2月22日 18時) (レス) id: 3acae59cc9 (このIDを非表示/違反報告)
sumi(プロフ) - すずさん» こんばんは、コメントありがとうございます！悲観的恋愛論を覚えてくださっていた事に心から感謝致します…ありがとうございます。近いうちに悲観的恋愛論を出させていただきます。本当にありがとうございます。 (2018年6月25日 23時) (レス) id: b03fdb00c0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：sumi
| 作成日時：2018年3月12日 14時
