俺のスカート、どこ行った？3 (ページ39)

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動揺していたAは明智の少し前を歩いていた

リング場があったあの場から出た2人は家路についている

さっきの動揺がなんなのかは分かっていないがとりあえず気にせず、触れずで明智はそっとしておいた

いつか分かることを願って

明智「A、」

『…、』

明智「隣、来ないの？」

『うん』

明智「…即答かよ」

サラサラな髪はピンク色に染められ

制服の上に羽織っているウィンドブレーカー

それを着てても華奢なのが分かる

明智「東条から聞いたんだけどさ。その、俺の家族のこと、過去のこと。聞かれてもAは黙ってたって。

…ありがとな」

『…、』

明智「それに、…」

そう言ってAの隣まで行き横に並んだ明智は顔を見た

明智「心配してくれてたって。俺のこと。本当？」

『…』

そう言うと立ち止まった

明智「…ん？」

『別に』

明智のことは言いふらさなかった

黙って、何も話さなかった

実はずっと心配していた

そんな隠れ他人想いのA

だが

本当は話さなきゃいけない1番大事なことを黙っている状態だった

黙らない方が良いことまで黙っている

再び歩き出した2人はAの家のマンションまで来た

『じゃ。…早く帰んなよ？秀一』

明智「っ…、うん」

振った手はAの久々の名前呼に反応して止まり、固まる明智

エントランス内に入っていって消えた後も明智は立ち尽くしていた

明智「…秀一って…」

久々に自ら名前を呼んでくれた

それが嬉しかったらしい

"どうせならAが部屋に入るまで見ておこう"と見上げた明智

ドアの前まで来たAに下から声をかけようとした明智は急に止めた

様子がおかしかったから

『…っ…、』

明智「…A？」

具合が悪そうにお腹を抱えて口に手を当てたAはそのまま部屋に入っていく

明智はしばらくそこを離れることができなかった