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明智は驚いてAの方をがっつり見た
『どうせ親いないし、私は嫌じゃないよ?』
明智は嬉しかった
これ以上ない幸せだった
Aだって親を亡くして悲しい想いをしていたのだ
お互い家庭を無くした同士なんなら支え合って生きていきたい、と
明智は思った
だが思い出してしまったのだ
"えーと、Aちゃんの亡くなった父親?
ふっ笑、元社長で金持ちで。
貯金有り余ってんだって?その金で1人暮らししてんだろ、Aちゃん
そのままお前ら結婚してさ、どうにかしてもらおうよ"
明智が近づけば
父親も近づく=Aに被害が及ぶ
四六時中一緒に居ることになる同居は危ない
学校で会ったり、どこかに出かけるだけならまだしも
Aの家まで乗っ取られるように奪われたらどうするんだと
明智は考えた
交際を終わりにして別れはしないけど住むのはダメだ
それが出来たらどれだけ幸せか
でも出来ないのが現実だ
"Aの居場所だけは無くしたくない"
そう決心した明智は自分の父親からAを守ろうとした
だが守り方を少し手こずった
明智「…帰るわ」
『…え、?』
明智「ごめん」
『…』
明智はその言葉を発したのが辛すぎて
言った言葉と心は正反対で
思わず目を逸らす
明智「無理、一緒に暮らすのは…キツイわ」
『…。ごめん』
キツくないのに出て来る言葉が残酷ですぐに訂正したかった
Aの謝りは何への謝りかわからなかった
明智の邪魔をして「ごめん」なのか
もうあんたとは関われないの拒絶の「ごめん」なのか
こんな結果になることは明智はわかってた
去っていくAの後ろ姿を見ながら
でも見れなくて、苦しくて
父親に殴られるより心が痛くて
過去イチ泣いた
弱いんだ、と明智は自分で自分を責めた
高校に入ってから1年はまた少し関係が戻って
時々お互いの家に行くことはあったものの
2年に上がる直前にAに異変が起きて
完全に距離ができたのだ
明智とAに
その異変の正体は知らない
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作者名:苺 | 作成日時:2022年3月30日 18時