現実 ページ21
Aside
姿が見えなくなってから数分が経った
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きっと今頃、スタンバイしているんだろう
それかスタッフさんに手を握ってもらってるか
全ての人の準備が整った
あとはてちがステージに立つだけ…
自分が出る以上に緊張するこの時間
不安や心配
それとどこかで期待している自分
そんな感情が混ざり合って
高鳴る胸を抑える
モニターを見つめて終わり頃には彼女を迎えに行こう
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会場が静まったのが分かったんだ
姿が見えたファンの方達のペンライトは止まり
何が始まるんだとソワソワしているのが空気として
伝わってくる
ステージに立っても数秒動かないてちを見て
少しドキッとしたが
構えてイントロが流れればもう平手友梨奈ではない
キレのある止めの動きと
しなやかで滑らかな動き
時に感情が振りを超えておもむろに全面に出てくる
誰も声を上げず音を立てず見守る見つめるこの空間
5万人が平手友梨奈という表現者に釘付けになった瞬間
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そして、
誰とも打ち合わせをしていない言葉を発した
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平手「ありがとうございました」
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深く長くお辞儀をしたてち
そんなてちを迎えに行くべく動き出すスタッフさん達
行かなきゃ__
私も行かなきゃ
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長く感じた
センターステージまでの距離が
でも私が着くまでに既にこっちに向かってくる姿が見えて
今すぐにでも抱きしめたかった
けど、何故か足が動かなかった
ボロボロになったてちを抱きしめることができない
怖かった
自分の手で…
自分の行動で何か
起こしてしまうんではないかと
それぐらい弱ってたんだ
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私の横を通り過ぎ寝かせられ休んでいる
それを見もせずに立ち尽くしている私を不思議に思ったのか
スタッフさんが近づいてきて
スタッフ「大丈夫?Aも休むか…ね」
まだ未だに自分が着替えていないことに気がついた
休むかと言われ移動をするがてちが気になる
今、行くべきなのか行かない方が良いのか
スタッフさんにサポートしてもらい起き上がったてち
優しい笑顔で見つめるスタッフさんたち
そんなに…深刻ではないのかな
いや深刻だよな…
スタッフ「よし、移動しよう!」
てちのグループスタッフさんも移動すると言い始め
結局は私たちと戻ることになった
誰かが持ってきた車椅子にてちは座り裏に向かう
『私が押す』
スタッフ「あ、ありがとう」
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作者名:苺 | 作成日時:2020年9月9日 17時