財前の話 with.205号室(2/2) ページ12
「A先輩ー!今日はA先輩が点呼なんすね!」
「そう。体温計った?」
「やべ忘れてた」
Aさんの前で見えないしっぽを振る切原。話に盛り上がり過ぎてすっかり忘れていた作業に全員で体温計を脇に挟む
「明日は忘れないようにして」
「うっす」
「はい」
測定をしながらAさんの顔を初めてじっくり見た。やはりかなりの美形で、雰囲気も大人びていて、確かにこれは自慢したくもなる
「出た?」
「いえ、まだ」
見過ぎたせいで目が合ってしまったが、Aさんは目を細めるだけ。ああ見られることに慣れとるんやな、と1人で納得した
「A先輩あのねあのね」
「なに」
目に見えてテンションの上がる切原をおもろく感じながら、測定の終わった体温計を手渡した。
Aさんはバインダーを持ちながら俺の体温計を見ると、少しだけ目を見開く
「財前君、体調大丈夫……?」
ずい、と整った顔を近づけられて少しだけ狼狽した。
「あー、いつも平熱こんなんなんで問題ないすわ」
平然を装って返事をすると不思議そうに俺の手を掴むAさん。
「低体温なんだ。確か血行促進のツボが」
「はいはーい!俺も!測定終わったっす!」
立ち話する俺達の間に切原が割り込み、握られた手が離された。
絶対にわざとやろ切原。
「……問題無しね」
「あーでもちょっと腹いてーかも」
「変なものでも食べたんじゃないの?」
「……」
しかしどう足掻いても心配して貰えない切原にその場の全員が笑いを堪えて、他2人も測定を終え、Aさんは部屋を去ろうとした
「もう行っちゃうんすか〜」
「君達も早く寝なさい」
ブーイングを飛ばす切原をガン無視のAさんはそそくさと扉を閉めてしまう。全然相手してもらえてないやん。オモロ、なんて心の中で嘲笑していれば切原がパッとこちらを向いた
「な?な?やべーだろA先輩」
まあ、確かに。なんて他2人が同意する中、少し嫉妬の混じった視線をこっちに寄越す切原。
文句の一つでも言われそうになったその時、またドアが開いた
「赤也」
「っはい!」
ドアから顔だけを覗かせるAさんに面白く肩を跳ねさせる切原。
Aさんはそこで初めて微笑んで
「明日、朝ごはん一緒に食べる……?」
そう言ったものだから
「秒で寝るっす」
顔を赤くさせる切原と一緒に、思わずこちらまでドギマギしてしまった
財前の話
最初の印象は、世話上手で綺麗なお姉さん
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光華(プロフ) - 逆からのやつ感動です!!柳君だからこそできることかな?神ですね! (2021年3月11日 21時) (レス) id: a571740452 (このIDを非表示/違反報告)
Haruka Ö(プロフ) - 逆から読むのは凄すぎました!!! (2020年1月27日 23時) (レス) id: 0d992502c1 (このIDを非表示/違反報告)
はる - 逆から読むのがわからないです…。理解力なくてすみません!!気になるので誰か教えてください! (2020年1月7日 13時) (レス) id: 2a82e997d1 (このIDを非表示/違反報告)
佐和(プロフ) - はじめまして。ろちこさんの作品にはまってます。がっくんのプロポーズ、笑いました。からあげwww逆ハ話も好きですが、誰か個人落ちの話をもっと読んでみたいです。更新頑張ってくださいm(._.)m (2019年8月18日 0時) (レス) id: 892b8d0726 (このIDを非表示/違反報告)
くろかは(プロフ) - ゼクシィじゃねーのが面白すぎたので日常会話で積極的に使っていこうと思います(^ω^) (2019年7月10日 19時) (レス) id: e34a9a5e9f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろちこ | 作成日時:2018年4月17日 2時