【テニプリ】恋の激ダサ短編集

財前の思惑：★ ページ30

皆で勉強会中、休憩も兼ねてTVをつければそこには丁度、私と財前君が映っていた。

「あれ、これ財前とAちゃんやん」

「うわマジや、何ちゃっかりTVデビューしとんねん」

「あーそういえばなんか取材されたね」

この前部活の買出しに付き合って貰った時だっけ。急に話しかけられてびっくりしたのを覚えている。

確かこの時の取材の内容が……

「デート中のカップルに突撃、やって」
「勘違いされたんか？」
「うん、そうなの」

解説も程々に始まった取材。
TVの中のインタビュアーが財前君にマイクを向ける。

《彼女さん、荷物重そうですよ？持ってあげたりとかしないんですか？》

謙也君と白石君が食い入るように見ているがこのシーンは確か……

《俺も重いんでどっこいどっこいっすわ》

2人はズッコケた。

《けど、彼女さんの方が多く持っているような……》

《それがマネージャーの務めやし、この後練習ある後輩に酷なこと言わんで欲しいすね》

「冷たっ！」

2人して一斉に財前君を見ても当の本人は何処吹く風である。うん、私だってこの時のアナウンサーの顔が忘れられないよ

《途中で休憩とかしてくれるので、優しい人なんです……》

最後には歩き出す私と財前君の後ろ姿が映っていた。

《彼女さん、足取り重そうでしたね》

そんな感じに私達のシーンは終わって、以降はごく普通のカップルの取材がされていた。皆思う存分惚気けていて、まあ私と財前君はそういうのじゃないから仕方ないんだけど、正直温度差が凄まじい

「財前お前酷い男やな！」
「画面の俺が言った通りすわ」

全組の取材が終わってスタジオのコメンテーターが何やら言っている間、謙也君が財前君に野次を飛ばす

《皆さんラブラブで微笑ましかったですが、1組だけ冷めきってましたね》

《美男美女同士なのに勿体無い》

《ああ、あれはですね……》

謙也君がうるさくてTVの音は聞こえないけれど、１番近くで見ていた白石君は何を聞いたのか、目を輝かせて成程と1人、財前君の肩に手を置いた

「自分、ほんま可愛ええな」

それにポカンとする私と謙也くん。財前君は少しだけ、目を泳がせた

「変な勘ぐりとかいらんすから」
「部長は応援するで〜」
「……うざいっすわ」

そんなやり取りに首を傾げながら、自然に勉強会は再開されたのだった


財前の思惑


《あれはですね、少しでも彼女と長くおるためにわざと足取り重たくさせて時間稼いどるんですよ》

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